一般的に「蛇口」や「水道」と呼ばれているものは、正式には水栓(水栓金具)といいます。水栓金具にはお湯か水のどちらかのみで使用する単水栓と、水とお湯を水栓金具内で混合して適温で使用できる混合水栓がありますが水が出る構造は同じです。水道蛇口の中を分解して使用されている部品・パーツの名称や役割について詳しく解説いたします。
水道蛇口で使われている部品の名称と役割
水道蛇口を分解すると意外に多くのパーツで構成されています。普段ではあまりなじみのない部品もあると思いますが、ホームセンターなどでも各部位毎に販売されていますので、蛇口の増設や交換をする際の参考としてご紹介します。
単水栓水またはお湯だけが出る水栓
混合水栓一台で水もお湯も両方出る水栓
①ハンドルビス
別名、色ビスと呼ばれる部品で蛇口ハンドルを固定するためのネジとなります。色がついていないもののありますが、色つきの場合は水は青、湯は赤色で区別します。ハンドルがぐらぐらする場合はこのハンドルビスの緩みが原因であることが多いです。
②蛇口ハンドル・蛇口レバー
シングルレバーやツーハンドルなど一般的な取っ手からタッチレスタイプまで種類は多岐にわたりますが吐水・止水など水量調整の指令となる部品です。レバータイプは上下左右に動かしますが、力が入りやすい構造のため、ハンドルタイプに比べて消耗しやすい部品です。
③スピンドル
スピンドルとは水道蛇口のハンドルをひねると上に上がる事で水量を調節するための部品です。金属製ですが、長年使うとすり減ることで消耗します。水栓のサイズによってスピンドルの径や長さも変わってきますので交換の場合は注意が必要です。
④コマパッキン
蛇口のコマパッキンはケレップと呼ばれ吐水口へ水が出るのを直接せき止める役割を果たしています。スピンドルを上げることでパッキンも一緒に上がり、水が出るようになります。 コマパッキンはゴムのため消耗しやすい部品です。ハンドルを締めても吐水口からポタポタと水が止まらなくなったら交換時期です。
⑤蛇口スパウト
スパウトとは本体から蛇口先端の吐水口へつながるパイプのことです。 シングルレバーの混合水栓には内部にバルブカートリッジが入っておりハンドルと連動した吐水量と湯温の調整を行っています。水栓金具本体とナットで固定しますが、可動部分のためゴムパッキンを使用しますので、ナットの継ぎ目で水漏れした場合は、ゴムパッキンを交換して修理します。
⑥蛇口キャップ
蛇口先端に取り付ける泡沫キャップ(泡沫金具)や断熱キャップなどが一般的です。泡沫キャップは水に空気を混ぜることで水流が柔らかくなり水撥ねを防ぐ役割を担っています。
シャワーヘッドなどと交換することも可能です。
また、古くなった水道管にはスケールと呼ばれる錆などが発生しますので、泡沫キャップがフィルターとなり、吐水口から流れることを防いでくれます。水が細くなったなと感じた場合は、泡沫キャップにゴミが溜まり、流れを悪くしている場合がありますので、確認してください。
機能を拡張できる便利な補助パーツをご紹介
水道蛇口のアダプター(ニップル)でホースを簡単取付け
アダプターがあればキッチンや洗面所、バスルームなどの水道蛇口から直接ホースを連結することができるので散水ノズルなどと接続することができます。
泡沫キャップであれば先を回せばキャップが外れるので比較的簡単に取付けることができる場合もあります。
ホース側にもコネクターをつけてしっかりと固定します。
アダプターは蛇口ニップルとも呼ばれていますが役割は同じものです。
ポイント
水栓の種類や形状、外径により適合するアダプタ・ニップルも変わります。取付け時はよくご確認ください。水道蛇口をロック、いたずら防止の蛇口鍵
いたずら防止や盗水対策に便利な蛇口鍵もあります。
ホームセンターなどでは蛇口自体を変えずにパーツを少し交換するだけでも鍵付きにできるタイプも販売されているので、屋外にある水栓を、あまり費用をかけずにセキュリティを強化したい場合はおすすめです。
蛇口から水が流れる仕組み
蛇口の構造的にどうやって水を出したり止めたりできるの?という事についても解説いたします。
水を出す際、蛇口のハンドルを使ってビスで一体化されたスピンドルを反時計回りに回し上昇させます。
スピンドルの下部には、コマパッキンが取りつけられています。このコマパッキンは、水道水を押さえつける役割を持っています。スピンドルとコマパッキンはネジなどで固定はされていませんが、スピンドルが回転して上昇することにあわせて、コマ栓も水道の水圧によって上に押し上げられます。そのすき間から水栓を通って水が流れる仕組みです。
蛇口を閉めるとスピンドルとコマ栓が下がり、水栓と水道の通り道を塞ぐことで止まる仕組みになっています。
単水栓から水が出る仕組み
ハンドルを締めている時はコマパッキンが穴をふさぐことで水をせき止めます。
反対にハンドルを緩めると水圧でコマが上昇し、隙間から水が出ます。
ツーバルブなどの混合栓も基本的には同じ構造となります。
混合栓から水が出る仕組み
浴室などで多いサーモスタット式やシングルレバー式の混合栓では内部にあるカートリッジでお湯と水の温度調整を行っています。
ハンドルを操作することで湯水の混合バランスが調節されて温度が決まります。
これらの混合栓ではスピンドルの代わりにカートリッジの軸棒が動くことで空いた隙間から水が出る仕組みとなります。