和式トイレを洋式トイレに手軽に改造できる「スワレット」は、「高額な費用がかかる大がかりな洋式トイレリフォームはできないけれど、和式じゃなくて使いやすいトイレにしたい」と考える方にニーズがあるトイレ設備です。
トイレを大規模リフォームするよりも手軽で費用を抑えられるため、高齢者のいるご家庭などで特に注目されています。

本記事では、スワレットの利点や課題、メリットやデメリット、設置時の注意点について詳しく解説します。

スワレット(和風改造用便器)とは?

スワレット とは

スワレットとは、TOTOが販売している和風改造用便器のことを指します。既存の和風両用便器にスワレットを載せ、その上に便座を設置することで簡単に腰掛式の洋式便器に変えられます。また、プラスチックではなく陶器でできているのも特徴です。

通常、和式トイレを洋式トイレに改装する場合は大がかりなリフォーム工事が必要ですが、スワレットを使えば手軽に洋式便器に改造できます。そのため、販売開始から40年以上経った今も販売が続くロングセラー商品です。

ちなみに、スワレット販売開始当初の旧型モデル(品番:CS500)はレギュラーサイズの便座で、ビスの取り付け穴はスワレットの両サイドに2ヵ所でした。そこから大型のエロンゲートサイズの便座に改良され、ビス取り付け穴も1ヵ所のみになりました。

スワレット(和風改造用便器)のメリット

スワレット メリット

スワレットを導入・設置するメリットは大きく以下の3つです。

工事にかかる費用と時間が短縮される

スワレットの大きな利点は、リフォーム費用や時間を節約できることです。通常、和式トイレから洋式に変えるには便器本体の交換だけではなく、床の段差の解消など大がかりなリフォーム工事が必要になります。工事には多くの時間を要するため、その間トイレも使えません。ただし、スワレットなら和風両用便器の上に被せて設置するだけで済みます。

快適性が向上する

スワレットを設置すれば、和式便器のようにしゃがむことなく座って用を足せるようになります。足腰の負担を軽減できるだけでなく、段差につまずくリスクも減らすことが可能となるため、特にお年寄りや体の不自由な方がいるご家庭にはおすすめです。また、暖房便座(ウォームレット)やウォシュレット、踏み台や手すりなども別途取り付けが可能です。

介護保険が適用されることがある

介護目的で使用する場合、給排水工事や固定工事を伴う設置であれば、介護保険制度の「住宅改修」対象になる可能性があります。また、工事を伴わない場合でも、「特定福祉用具購入」として適用される場合があります。詳細は、ケアマネージャーや自治体の担当部署に確認してください。

スワレット(和風改造用便器)のデメリット

スワレット デメリット

スワレットは手軽に設置工事ができる利点がある一方で、いくつかデメリットもあります。

汚れがつきやすくなる

スワレットは、既存の和式便器の上に被せるように設置します。そのため、洗浄時に便器の内側に十分な水が流れずに便器に汚れがたまりやすくなります。また、構造上どうしても床との接地面に隙間ができることがあり、定期的な掃除を怠ると汚れや悪臭の原因になる恐れがあります。

トイレの空間が狭くなる

既存の和式便器の上に被せる形でスワレットを設置するため、便器全体のサイズが大きくなり、トイレ内の有効スペースが減少することがあります。もともとトイレの空間が限られている場合は、さらに圧迫感が増す恐れも。特に高齢者や小柄な方にとっては、座った際に足が届かず、踏ん張りが効かないといった問題が生じる可能性があります。

脱臭能力が不足し臭いが気になることがある

脱臭機能付き便座の設置は可能ではあるものの、便器と便座の間にスワレットが挟まる構造になるため、通常と比べて脱臭効果が不足する恐れがあります。

給湯器

スワレット(和風改造用便器)設置後の臭い対策

和風改造用便器

スワレット設置後にトイレの臭いが気になる方は、以下に紹介する対策を参考にしてみてください。

トイレ空間の消臭を強化する

手軽にできるものとしては、市販のトイレ用消臭剤の設置や消臭スプレーの使用などが挙げられます。さらに強い効果を求めるのであれば、脱臭機の設置も一案です。脱臭機は、トイレ内の空気中の臭い分子を吸着・分解することで、効果的に臭いを除去します。設置場所としては、トイレの壁面や棚の上など空気の流れが良い場所が適しています。消臭剤や消臭スプレーといった人工的な香りが苦手な方にもおすすめです。

トイレの使い方を工夫する

汚れが付着しやすくなる構造であるため、使用後はこまめに掃除できるとベターです。また、定期的にトイレの換気扇を回したり、トイレを流す際は便座の蓋を閉めたり、臭いを吸着しやすい便座カバーやマットといった布製品をこまめに洗濯したりするのも効果的です。

蛇口・水栓

スワレット(和風改造用便器)の設置の注意点

スワレット 注意点

スワレットはどの型の和式便器でも設置できるわけではありません。ここでは設置における注意点をいくつか解説します。

取り付け可能な型が限定されている

スワレットはどの和式便器にも取り付けが可能なわけではなく、品番が限定されています。対応している品番は下記のとおりです。

・C375AV
・C375AVF
・C750AV(すべてTOTO製)

なお、上記の品番に該当していても、便器のふちが極端に湾曲している場合はスワレットの安定した設置が難しくなります。特に、段差がない便器や、後方に汚物排出穴がある便器、床面に露出した洗浄管がある場合は、正しく固定できない可能性があります。

ウォシュレットの設置時には電気工事が必要となる

スワレットを設置する際にウォシュレット(温水洗浄便座)を新たに取り付ける場合は、トイレ内に電源があることが条件となります。古いトイレで電源がついていない、あっても便器から遠い場所にあるのであれば、電源の新設や増設工事が別途必要になります。

トイレットペーパーのホルダーや手すりの調整が必要になる場合も

トイレットペーパーホルダーや手すりの位置を調整する必要が出てくることがあります。これは、スワレットを設置したことで便器の高さや形状が変わり、既存設備との位置関係が変化したためです。

例えば、便座の高さが変わると既設のトイレットペーパーホルダーや手すりの位置が使いづらくなってしまいます。そのため、使用者が無理なくペーパーを取り出せるようにホルダーの高さや左右の位置を調整しなければいけません。また、手すりについても安全性と利便性を確保するために、必要に応じて位置や高さを再検討、または新設することをおすすめします。

スワレット(和風改造用便器)の設置にかかる費用

スワレット 費用

スワレット設置では、スワレット本体とその上に設置する便座本体の費用、さらに取り付け工事費がかかります。

なお、設置費用は便座やスワレットの種類、トイレの状況、依頼する施工業者などによって変動します。スワレットの本体代は4万円ほどが目安です。

具体的な費用を確認するには、まず施工業者に見積もりを依頼します。このとき、1つの業者だけではなく、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが大切です。オプションなど追加で費用がかかることもあるため、必ず見積もりの時点で確認するようにしてください。

まとめ

スワレットは、和式トイレを洋式トイレへ手軽に改造できる便利なアイテムですが、設置にあたってはメリットとデメリットの両面を考慮する必要があります。快適性の向上やバリアフリー化といった利点がある一方で、トイレ空間の変化や清掃の手間といった難点も伴います。和式トイレの使いづらさにお悩みの方は、ぜひスワレットの設置を視野に入れてみてください。

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