世界情勢が不安定な昨今、電気代の値上げが家計を圧迫しています。例年どおりの光熱費予算ではやりくりできなくなったというご家庭も多いでしょう。

そこで、2023年1月から政府による『電気・ガス料金負担の激変緩和措置』が開始されました。この緩和措置により、電気代補助金が支給され、電気代が安くなる仕組みでしたが、2024年5月分までで終了となります。

この記事では、電気代補助金の仕組みと、緩和措置終了後も光熱費をさげるためのコツについて解説いたします。

電気代補助金とは?

電気代補助金とは、2022年10月の国会で閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の一環として盛り込まれた事象のひとつです。
正式名称は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」で、世界的な燃料価格の変動の影響を大きく受ける日本の光熱費価格が家計の負担にならないよう、一時的に補助金を支給することで、電気料金の急激な高騰を防ぐ目的があります。

電気代補助金の申請方法

電気代補助金は申請不要で適用される補助金です。
電気利用者である私たちは、何も手続きすることなく補助金による値引き価格が適用されます。

というのも、補助金は私たち国民に直接支給されるのではなく、電力会社に支給される仕組みがとられています。
電力会社は家庭用の低圧電力の場合1kWhあたり7円(2023年9月以降は3.5円)の補助金を受け取ります。
補助金を受け取った分の価格が、そのまま値引きされるため、私たちは1kWhあたりの『補助金額×電気使用量』で算出される額分、光熱費が安くなるのです。

例)月に150kWh使用、値引き単価7円/kWhの場合150kWh × 7円 = 1050円1050円の値引き

ただし、電気代補助金は、国によって認定された電力会社(小売事業者)しか受け取れません
大手電力会社は全て認定されていますが、心配な方は念の為、現在契約中の電力会社が認定事業者かどうか電気・ガス価格激変緩和対策事業のHPより確認しておくと安心です。

参考:https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/adopt

電気代補助金の適用期間

電気代補助金の適用期間は2024年4月時点では、2024年5月使用分までとされています。

もともと『物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策』では、2023年9月までの支給とされていましたが、その後発表された『デフレ完全脱却のための総合経済対策』により延長が決定され、2024年5月まで延長されたという背景があります。

補助金額も徐々に減少し、現在では値引き単価1.8円/kWhとなっています。

このまま補助金事業が終了した場合、値下げはなくなり、光熱費が多少値上がりする可能性が高いといえるでしょう。

電気代補助金事業終了後に電気代を節約するコツとは?

今後、電気代補助金事業が終了してしまうと、光熱費の高騰は家計に直結します。
電気の使用量が多ければ多いほど、値引き額が高くなっていたため、打撃も大きくなるでしょう。

ここからは、電気代補助金事業が終了しても光熱費を抑えられるよう、電気代を節約するコツを6つご紹介いたします。

冷暖房の設定温度を見直す

電気代節約の第一歩といえば、冷暖房の設定温度を見直すことです。
エアコンの消費電力は、設定温度を見直すだけで、大きく変わります。
一般的に、冷房時の設定温度を1℃上げると10%〜13%の削減、暖房時の設定温度を1℃さげると8%〜10%の削減につながると言われています。

ちなみに、こまめに冷暖房をオン/オフするのは逆効果。
エアコンなどの家電は電源を入れる時に消費電力が増加する傾向があるため、何度も電源を入れたり切ったりすると、消費電力が増える一因となってしまうのです。
特に最新のエアコンは節電機能がついているため、室温が設定温度付近に近づくと、自動で風量を調整し、温度をキープしてくれます。

エアコンをつけると寒すぎるという場合には、設定温度を見直して、電源を入れっぱなしでも快適に過ごせるようにすると良いかもしれません。

冷蔵庫の設置方法・利用方法を見直す

冷蔵庫は「放熱」の隙間が必要です。
放熱板のある場所は壁から離して空間をつくると効率的に食品を冷やすことができます。

新しい冷蔵庫では、側面や上部に放熱板があるため、サイドや冷蔵庫の上をあけておくと効果的です。一度取り扱い説明書を確認してみるのも良いかもしれませんね。
また、直射日光が当たっている場合は、カーテンや日除けを設置することでも消費電力を抑えることができます。

さらに、扉の開閉回数を減らすことでも節電効果が期待できます。庫内に冷蔵庫カーテンを設置するのもおすすめです。

テレビやパソコンの輝度を下げる

テレビやパソコンのモニターの輝度を下げると、消費電力を抑えることができます。
不要なバックライトを消したり、スタンバイモードを利用するなどして、使わない時間にモニターをオフにするのも効果的です。

炊飯器の保温機能を使わない

炊飯器の保温機能は1時間あたり0.4円〜0.6円かかります。
保温機能は便利ですが、消費電力をおさえるためには、炊き立ての時にお茶碗などに分けてから、食べるときに電子レンジで温める方が少ない電力で温かいご飯を食べられます。

保温機能を使わず、冷蔵・冷凍してしまった方が腐る心配もないため、食品ロス削減にもつながります。
最近では冷凍ごはんを美味しく保存できる容器も人気です。

温水洗浄便座の設定温度を下げる

貯湯式のウォシュレットでは、設定温度を下げることで消費電力を抑えることができます。
また、暖房便座も季節に応じて温度をさげると節電につながります。

細かいことですが、トイレのふたを開けぱなしすると、熱が放熱されやすくなるため、家でもトイレのふたを閉める習慣をつけるのも良いかもしれませんね。
衛生面でも汚れや菌が飛び散りにくくなるためおすすめです。

LED照明に切り替える

LED照明の消費電力は、蛍光灯の約3分の1、白熱電球の約8分の1と従来の照明器具よりも非常に低いのが特徴です。
全ての照明器具を交換すると初期費用がかかることから躊躇している方もいらっしゃるかもしれませんが、長期的にみると、LED照明に切り替えた方が電気代を大幅に節約できます。

さらに、LEDは長寿命なので、電気交換も10年近く不要です。

東京都では、LED照明器具への交換時にHPから申請することで東京ゼロエミポイントが付与されます。自治体の補助金など、制度を利用することで、リーズナブルにLED照明を導入することもできるため、チェックすることをおすすめします。

電気事業者や契約プランをみなおす

電力自由化により、電気会社を個人で選べるようになってから数年が経ちました。
乗り換えキャンペーンなどが下火になり、見直す機会が減ってきましたが、電気代が高くて困っているという方は、ライフスタイルにあった電力プランのある電気会社に変えてみるのも良いかもしれません。

日中家を留守にすることが多い方なら、夜間の電気料金が安くなる夜間プランにしてみたり、週末や祝日の電気料金が安くなるプランを選ぶこともできます。

まとめ

電気代補助金は個人で申請せずに適用される補助金です。
光熱費の高騰を補助してくれる嬉しい補助金ですが、残念ながら終了間近と言われています。

この機会に古くなった家電を省エネ家電に変えてみたり、節電グッズを取り入れたりして、省エネを意識してみませんか?

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