階段のがたつき・きしみが気になったり、急な勾配がつらくなってきたり、長く住んでいると、家の階段に不満がでてくることもあるでしょう。

そんな時には、階段のリフォームをすることで、お悩みを解決できるかもしれません。

この記事では、階段リフォームの目的や階段の種類、リフォーム時に利用できる減税制度や助成金についても解説いたします。

階段リフォームの目的と方法

家の階段リフォームは、主に安全性を高めたり、デザインを良くするために行います。足腰が悪い方や高齢の方がいるご家庭では、安全のために階段のバリアフリー化を図りたいという考えもあるでしょう。

階段をリフォームする際に、階段全体をリフォームすると、費用がかなり高額になってしまいます。そのため、リフォームの目的や理想と予算をすり合わせ、どのようなリフォームをするのか検討していく必要があります。

予算別に階段リフォームの方法をご紹介いたします。

床材を張り変える

一番安価なリフォーム方法は「踏み板」と呼ばれる階段の床板を張り替える方法です。現在ある階段の上に蹴込板(けこみいた)や踏み面(ふみづら)といった階段用の床材を上貼りしていきます。

階段の勾配を変えることはできませんが、階段の木材がささくれてしまいトゲができている場合や黒ずみが気になる場合などは、張り替えで階段の見た目を綺麗にすることができるので、オススメです。

クッション製があり、すべりにくい階段用床材に張り替えれば、転倒防止にも役立ちます。

自分で簡易的に転倒対策をしたい場合は、階段マットもオススメです。階段マットについては以下の記事をご覧ください。

手すりをつける

手すりがあると、ぐらっと来た時に手で支えることができるので、もしもの時に安心です。ただでさえ、階段は転倒・転落の危険性が高い場所ですので、早めに手すりをつけておくと転倒事故のリスクを低減できるでしょう。

特に、高齢になってくると、足の運動量が多い階段の上り下りに不安を覚える方が多いようです。片足立ちで足を上げ下げする階段は、バランスを崩しやすいため、ふらついてしまうことも。

手すりは、体重を預けられるよう、しっかりと固定する必要があります。高い安全性が求められるため、DIYよりもリフォーム業者に依頼することをおすすめします。壁の補強が必要な場合もあり、張り替えよりは大掛かりな工事が必要になりますが、バリアフリー減税の対象になるため、減税額を計算してから予算を決めると良いかもしれません。

バリアフリー減税については、後ほど解説いたします。

階段の勾配・種類を変える

一番大掛かりなリフォームになりますが、階段の勾配を変えたり、位置・間取りを変えることも可能です。階段の種類を変えることで、階段の段差を低くしたり、幅を広くすることができます。

急な階段や狭い階段は、誰でも上り下りしにくく、特にまだ身体が小さなお子さんにとっては、危険な場所になってしまいます。100万円〜とリフォーム費用もかさみますが、長い目で見れば、良い決断と言えるかもしれません。

階段の種類については、この後詳しく解説いたします。

リフォーム前に知っておきたい!階段の種類とは?

階段は向きや構造によって、いくつかの種類に分けることができます。それぞれの特徴を理解しておくと、リフォーム後のイメージがつきやすくなります

住宅用の室内階段で一般的な階段は、主に以下の5種類になります。

  1. ストレート階段(直階段)
  2. かね折れ階段
  3. 回り階段
  4. 折り返し階段
  5. らせん階段

それぞれの形状と特徴を解説いたします。

ストレート階段(直階段)

ストレート階段は、下の階から上の階まで一直線に続く、最もシンプルな構造の階段です。一般的に、壁に沿って設置され、日本家屋でよく見られます。階段の途中で方向転換しなくて良いため、見通しが良く安全ですが、万が一、上段で転倒した時に、下段まで一気に転落してしまう可能性があります。

1.5畳〜2.5畳ほどのスペースがあれば設置できますが、勾配をゆるくし、踏み板を広めにつくりたい場合は、基準値よりも広い設置面積が必要です。

かね折れ階段

かね折れ階段は、階段の途中で一度直角に曲がるタイプの構造です。曲がり角には踊り場が設けられます。ストレート階段に比べると、広いスペースがないと設置できないというデメリットがありますが、一度折れ曲がるため、転落時の安全性は少々高まります。

折り返し階段

かね折れ階段は、90度の曲がり角がある階段でしたが、折り返し階段は、踊り場で180度向きを変えるタイプの構造です。上から見た場合、かね折れ階段はL字に、折り返し階段はコの字になります。

踊り場が広くなる分、安全性は最も高くなります。その分、広いスペースが必要になり、施工費用も高額になりがちです。

回り階段

回り階段は、かね折れ階段・折り返し階段の踊り場部分にも踏み板を設置するタイプの構造です。曲がり角になる部分は、廻り踏板と呼ばれる特殊な形の踏み板が使われます。
90度に曲がる場合・180度に曲がる場合、どちらも踊り場が無く、段差が設けられていれば、全て『回り階段』ということになります。

かね折れ階段・折り返し階段よりも、狭いスペースに設置できるうえ、ストレート階段よりも勾配をゆるやかにしやすいため、多くの住宅で取り入れられています。

らせん階段

オシャレなスペースなどに設けられているらせん階段は、その名の通り、柱を中心とし、らせん状に踏み台が設置される構造の階段です。デザイン性が高いうえ、設置面積を狭くしやすいため、コンパクトなデザイナーハウスなどに採用されています。

ただし、らせん階段の踏み台は扇形になるため、中心部分の踏み台の幅が狭くなってしまいます。小さなお子様や高齢の方がいる場合は、注意が必要です。

階段リフォームは減税制度の対象になる場合も

手すりの設置や、階段の勾配をゆるめるためのリフォームは、階段の安全性を高めるものです。そのため、バリアフリーを目的としたリフォームとみなされれば、国や市町村の減税措置を利用することができます。

対象になる可能性がある減税措置について、簡単にご紹介いたします。

バリアフリーリフォーム減税

50歳以上の方、または65歳以上の親族や要介護・要支援認定者と同居している方などが、自らが所有し住んでいる家のバリアフリーリフォーム工事を行った際に使える制度です。階段の勾配の緩和や手すりの設置、すべりにくい床材への変更などが対象工事となります。

所得要件や控除要件を満たせば、翌年の所得税から控除対象額の10%が控除されるシステムです。

確定申告時に申請できます。

参考: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1220.htm

固定資産税の減額

階段リフォームを行った際には、市町村に所定の申請書を提出することで、固定資産税の1/3が減額される制度も利用できます。対象となる工事内容はバリアフリーリフォーム減税と同じですが、所得要件は少々異なります。また、工事後3か月以内に市町村の窓口に必要書類を添付した申請書を提出しなければならないので、忘れずに手続きすることが重要です。

詳しくは、お住まいの市町村の行政機関HPでご確認ください。

まとめ

階段のリフォームは、大掛かりになるため、思い切りが必要かもしれません。しかし、安全面を考えれば、しておいてよかったと思う日がくるでしょう。

減税制度や助成金などを活用し、家族が安心して暮らせる家にリフォームしてみませんか?