リフォームとリノベーションの違いは?費用相場やメリット・デメリット、コストを抑える方法
2023/07/27
2023/07/27
住まいの改修工事は「リフォーム」と「リノベーション」の2タイプに大きく分けられますが、工事規模や費用感、完工までに要する期間などが異なります。改修工事を検討する際は、それぞれの違いを正しく把握した上で、住まいの状況や希望の施工内容に合わせて選択することが大切です。
そこで本記事では、リフォームとリノベーションの違いやそれぞれのメリット・デメリット、費用相場などについて解説します。
目次
まずは、リフォームとリノベーションがどのような改修工事を指すのか、それぞれの定義や概要についてご紹介します。
リフォームは英語で「reform」と書き、日本語では「改善」や「改良」と訳されます。一般的には、老朽化した建物を新築時の性能に戻すという意味合いで用いられる和製英語です。「マイナスの状態のものをゼロの状態に戻すための工事」と考えるとわかりやすいでしょう。
住まいは長期にわたって住み続けることで、家具や家電の設置跡がつくことや、経年劣化によって設備や水回りが損傷することが避けられません。リフォームではこのような老朽化した場所を改修し、新築に近い状態に回復させるための工事を行います。
リノベーションは英語で「renovation」と書き、日本語では「革新」「刷新」「修復」の意味です。中古マンションなどの既存の建築物を改修し、その物件の価値を高めるという意味合いで用いられます。リフォームがマイナスをゼロの状態に戻すことなのに対し、リノベーションはゼロの状態に+αを加え、新たな価値を生み出す工事です。
リノベーションは、中古住宅を購入して住み替えるときや住居全体を改修したい場合に、選ばれるケースが一般的です。
例えば、中古住宅の間取りを変更して自分好みの空間に改装する、または家族の生活スタイルに合わせて暮らしやすい家に造り替えるなど、新築状態よりも価値ある建物にするための工事を行います。
リフォームとリノベーションは、具体的にどのような点が違うのでしょうか。双方の違いについての明確な線引きは曖昧な部分もありますが、大きく異なるのは主に工事の規模と、改修工事後の居住設備性能の2点です。それぞれの違いについて、詳しく解説します。
工事規模は、リフォームよりもリノベーションのほうが大きくなるのが一般的です。リフォームは、主に壁紙やフローリングの張り替えのほか、キッチンやユニットバス設備の交換、外壁塗装などの小規模な工事が行われます。
一方、リノベーションでは間取りの変更、水道管や排水管の変更など、規模の大きな改修工事がメインです。内装や壁、天井などを取り払い、建物を躯体構造のみの「スケルトン状態」にしてから改修工事を行う「フルリノベーション」は、さらに大規模な工事になります。
リフォームは、老朽化した居住設備を新築時の状態に原状回復させる改修工事です。一方のリノベーションは、現状よりも性能の高い設備に変更します。 「設備を元の状態に回復させる」のか「より性能が高い設備に改修する」のかという点も、リフォームとリノベーションの大きな違いです。
リフォームを行う上でのメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれをしっかり確認した上で、どちらを実施するかどうか検討してください。
リフォームのメリットとしては、費用を抑えられることや工事期間が短いこと、住み慣れたマイホームの雰囲気を残せることが挙げられます。リフォームは、家を快適な状態に手軽に改善させることが可能です。
リフォームは一般的に、リノベーションよりも工事規模が小さめです。リフォームの工事内容は基本的には部分的な交換や補修などが中心になるため、間取り変更などの大掛かりな工事になるリノベーションと比較して、工事費用を抑えられるのがメリットになります。
リフォームは「食器洗い乾燥機を交換する」「洗面台やトイレを改修する」「和室の畳をフローリングへ変更する」「廊下に手すりをつける」などのように、工事が小規模です。そのため、工事にかかる期間も数時間から数日、長くても1ヵ月程度と短期間で済むのもメリットといえます。
リフォームでは住まいの基本構造はそのままに、部分的な改修工事で新築時に近い状態へ回復させます。リノベーションのように間取りや配管位置などが変わるほどの大規模な工事は行わないため、家具の配置や生活動線にも大きな影響はありません。住み慣れた家のまま暮らせるのもメリットのひとつといえるでしょう。
リフォームのデメリットは、間取りや内装デザインの変更が難しいことや、工事後に別の箇所のリフォームが必要になる可能性がある点です。比較的低コストで済む分、できることには制限があります。
リフォームは現状の間取りを前提に設備交換や内装修繕などの小規模な工事を行うため、間取りやデザイン性の変更が難しいのがデメリットです。内装は壁紙の張り替えなどが一般的で、家全体のデザインを大きく変えることは難しいでしょう。
リフォームの場合、一部の設備や内装を改修しても、数年後には別の箇所の劣化や損傷が進み、またリフォームが必要になる可能性があります。例えば、「システムキッチンを改修したものの、2年後に洗面所やトイレのリフォームが必要になった」「この前、外壁を塗り替えたのに、今度はお風呂が壊れてシステムバスを交換した」などということになるかもしれません。
続いては、リノベーションを行う上でのメリットとデメリットをご紹介します。リノベーションは工事の自由度が高い反面、工事費用が高額になりがちなので、後悔することがないようにメリットだけでなくデメリットも踏まえた、綿密なプランニングが大切です。
リノベーションは、自分好みの間取りや内装など自由度の高い改修ができることや、断熱性や耐震性を向上させることなど、住まいの資産価値を高められる点が大きなメリットです。中古物件を購入することで、新築を建てるよりも低コストで、理想の住まいが実現できます。
リノベーションは大規模な改修を前提とした工事を行うため、利便性やこだわりを追求した設計ができる点がメリットです。間取り変更はもちろん内装材を一から決めることもできるため、家全体を好みのデザインに統一することが可能です。
また、「家族で過ごせる広いリビングが欲しい」「趣味や仕事に集中できるスペースを作りたい」「家族や友人と楽しく食事ができるおしゃれなダイニングキッチンに憧れる」「屋外スペースで快適に過ごせる開放的なバルコニーが欲しい」など、家族のライフスタイルに合わせて住まいを改装したい場合にも向いています。
築年数が古い物件でも、間取りやデザイン、設備や仕様などを改善することができれば、資産価値を高められるのもリノベーションのメリットです。そのため、将来的に物件を売却や賃貸に出すときにも、リノベーションをしない場合より有利な金額で取引することができるでしょう。
リノベーションは工事が大規模になることが多いため、費用が高額になりやすく、工事期間も長くなるのがデメリットです。そのほかの点も含めて、リノベーションのデメリットをご紹介します。
リノベーションは工事規模が大きい分、費用も高額になる傾向があるのがデメリットです。築20年以上の築古物件を安く購入できたとしても、修繕箇所が多く工事が大規模になれば、コスト面で想定を大きく上回るおそれがあることにも注意しなければなりません。
1981年に建築基準法改正で耐震基準が変わっていますが、購入した物件がそれ以前の旧耐震基準で建てられている場合は、耐震補強工事が必要になる可能性もあります。
特に戸建ての場合は、基礎の劣化や腐食などによる耐震性の問題を確認するために、耐震診断を受けておいたほうが良く、そうした費用がかかることも考慮しておかなければならないでしょう。
工事規模が大きい分だけ、工期が長くなることもリノベーションのデメリットのひとつといえるでしょう。特にフルリノベーションをする場合は、一般的にマンションなら2~3ヵ月、戸建住宅なら3~4ヵ月と工事が長期にわたります。
工事期間が長くなると、入居までの賃貸住宅の仮住まい費用と住宅ローンが並行して発生するため、注意が必要です。
中古物件は、表面上は状態が良く見えても、解体すると柱や配管が劣化しているケースも少なくありません。また、解体後の構造状況によっては、予定していた工事が難しくなることもあります。このような解体後のプラン変更や追加の補修費用が発生する可能性があるのも、リノベーションのデメリットです。
建築物の構造形式によっては、間取り変更ができないなどの制限が生じることもリノベーションのデメリットでしょう。例えば、建物を構造壁で支える「壁式構造」のマンションは、部屋の壁を取り払う間取り変更ができない場合があるため注意が必要です。
リフォームとリノベーションの違いやメリット・デメリットについて見てきましたが、それぞれに必要な工事費用の相場はどのくらいでしょうか。ここからは、リフォームとリノベーションにかかる工事費用の一般的な相場について解説します。
リフォーム費用の相場と一口にいっても、工事の規模や内容によって費用はさまざまに異なります。
畳→フローリングへ | 15万~60万円 |
壁クロスを珪藻土に | 18万~30万円 |
スレート屋根の塗り替え | 20万~80万円 |
階段の改修(戸建て) | 20万~100万円 |
外壁材の重ね塗り(戸建て) | 50万~100万円 |
システムバス交換(マンション) | 50万~100万円 |
システムバス交換(戸建て) | 60万~150万円 |
システムキッチンの交換(壁付→対面型) | 75万~200万円 |
キッチン全体のリフォーム | 80万~400万円 |
オール電化への改修 | 100万~200万円 |
耐震補強(基礎からの工事) | 100万~200万円 |
太陽光発電システム(戸建て) | 200万~300万円 |
アイランドキッチン | 300万~450万円 |
マンションと一戸建て住宅それぞれのリノベーションにかかる工事費用の相場は、次のとおりです。
上記の金額を見ても、リノベーションの費用はリフォームと比較して高額になることがわかります。リノベーションを検討される場合は、工事規模や内容に合わせて見積りを取り、工事から引き渡しまでの仮住まい費用なども考慮した上で、資金計画を立てることが重要です。
旧耐震基準の築古物件のため通常の住宅ローンが借りづらい場合、リノベーションやリフォーム用の融資として利用されるリフォームローンの利用も選択肢のひとつになります。
また、リノベーション工事で「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「三世代同居」「長期優良住宅化」のいずれかを行う場合は、対象工事にかかった費用の10%が翌年の所得税から控除されるリフォーム減税制度もありますので、事前に確認しておきましょう。
リフォームには大きく分けて、家全体の改修や増築などを行うフルリフォームと、キッチンやトイレなど家の一部を改修する部分リフォームがあります。部分リフォームの方がフルリフォームに比べて費用を抑えられます。
ここでは、部分リフォームの中でも最も低コストでできる、住宅設備交換の費用について紹介します。住宅設備の交換費用は、安いもので蛇口・水栓が2万~4万円、高いものでもエコキュートの40万~70万円と、比較的手頃に行うことが可能です。
住宅設備 | 工事費用相場 |
---|---|
トイレ | 10万~30万円 |
蛇口・水栓 | 2万~4万円 |
洗面化粧台 | 7万~15万円 |
ガスコンロ | 8万~14万円 |
IHクッキングヒーター | 8万~20万円 |
ビルトイン食洗機 | 10万~16万円 |
ガス給湯器(給湯専用タイプ) | 7万~13万円 |
ガス給湯器(追い焚き付きタイプ) | 13万~22万円 |
ガス給湯器(暖房機能付きタイプ) | 21万~29万円 |
エコキュート | 40万~70万円 |
※記載の金額は2023年7月24日時点のものです(交換できるくん調べ)。
部分リフォームなら住み慣れた自宅の雰囲気をそのままに、短期間かつ低コストで改修することができます。
施工内容によって費用や工事期間が変わるため、目安の金額を把握した上で、予算の範囲内に収まるよう見積りを依頼することが大切です。
最新の住宅設備はリーズナブルなものでも、節電・節水性能の向上や安全性など、驚くほど機能性が増しています。家の老朽化により普段の生活に不便を感じていても、金額のかかる大掛かりなリフォームに躊躇している方は、部分リフォームとして住宅設備の交換をおすすめします。
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