地震大国の日本では、家が小さな地震や強風で揺れるたびに、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。家の強度を高めるためには、耐震リフォームが効果的です。

耐震リフォームでは、自治体による補助金制度を利用できます。この記事では耐震リフォームに活用できる補助金制度やリフォームの内容について詳しく解説します。耐震リフォームの実施を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

耐震リフォームで活用できる補助金制度

耐震リフォームに活用できる補助金制度は、自治体ごとに異なります。

たとえば東京都新宿区では、上部構造評点を1.0以上にする耐震リフォームの場合、最大300万円の補助金が支給されます。また、上部構造評点が0.7以上1.0未満の場合は、補助額の上限が150万円です。

練馬区では条件が異なり、最大225万円の補助金が支給されます。一方、補助金制度を設けていない自治体もありますので、耐震リフォームを検討する際には、住んでいる自治体の補助金制度を確認してください。

なお、国による補助金制度は2024年7月現在設けられていませんが、耐震リフォームを行うことで所得税控除や固定資産税の減額を受けられます。

耐震リフォームが必要になる住まいとは

耐震リフォームが必要となる住まいには以下のケースがあります。

  • ・旧耐震基で建てられた住宅
  • ・耐震性に不安を感じる住宅
  • ・売却予定の住宅

それぞれについて、詳しく解説します。

旧耐震基で建てられた住宅

耐震リフォームの目安の1つは耐震基準です。1981年以前に建てられた住宅は、旧耐震基準に基づいていることが多く、現在の安全基準に達していません。大きな地震が発生した際に倒壊のリスクが高いため、該当する住宅に住んでいる方は、耐震リフォームを検討したほうが良いでしょう。

また、建築基準法は2000年6月にも改正され、この時は柱や筋交いの接続方法、基礎設計などの基準が強化されました。2000年以前に建てられた住まいは強度において問題はないものの、法改正後に建てられた最新の住宅と比較すると耐震性で劣るため、不安な方はリフォームをおすすめします。

耐震性に不安を感じる住宅

現行の耐震基準に適合していても、家の立地や形状によっては、耐震性を強化したほうが良い場合があります。

震度が低い地震でも強く揺れると感じたり、老朽化が進んでいたりする場合は、耐震リフォームの検討をおすすめします。

売却予定の住宅

売却を予定している住宅についても、耐震リフォームを行うことで売値が上がる可能性があります。ただし、リフォーム費用と売却価格の上昇が見合わない場合もあるため、専門家に相談して判断することが大切です。

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耐震リフォームの内容

耐震リフォームにはさまざまな種類があります。

  • ・筋交い・ダンパーの設置
  • ・耐震パネルの設置
  • ・柱の追加・入れ替え
  • ・屋根の軽量化
  • ・窓周りの耐震性向上リフォーム

それぞれの内容を解説します。

筋交い・ダンパーの設置

筋交いとは、柱と柱の間に斜めに取り付けられる部材のことです。壁の強度を増し、地震の横揺れによる建物の衝撃を軽減する役割を持ちます。

ダンパーは、柱や梁に取り付けて揺れを吸収する装置で、建物全体の揺れを抑える効果があります。

これらを設置することで、地震時の建物の歪みや変形を抑えることが可能です。

耐震パネルの設置

耐震パネルとは、建物の壁の外側に取り付けられるパネル状の部材のことです。点ではなく面で住宅を支えるため、地震の揺れを効果的に分散・吸収し、建物の倒壊を防ぎます。

耐震パネルにはいくつか種類があり、鋼板・断熱材・間柱を一体化したパネルや、割れにくく粘り強い性質を持つパネルなどがあります。

柱の追加・入れ替え

古い耐震基準で建てられた家では、柱の本数が不足しているケースがあります。地震による倒壊を防ぐため、耐震リフォームで柱を追加することも可能です。

また、劣化が進んだ柱を新しいものに入れ替えることで、地震に対する強度を向上させることができます。

屋根の軽量化

積み木を思い浮かべるとわかるように、重心は下に位置しているほうが、建物は安定します。屋根材を軽量化することも、揺れに強い家づくりをする上で重要なポイントです。

ただし、屋根の軽量化だけでは耐震性の向上は難しいため、柱や壁など、家の構造部分の耐震リフォームと合わせて、屋根の軽量化を検討することが大切です。

窓周りの耐震性向上リフォーム

壁や柱のない窓周りは、家の中でも強度の低い場所とされています。しかし窓は家の採光性や通風性を確保する上で、重要な役割を持つ場所。また避難経路にもなるため、窓を壊して壁や柱を設置する耐震リフォームを躊躇(ちゅうちょ)する方もいると思います。

窓を残したまま窓周りの耐震性を高める際は、耐震フレームの設置がおすすめです。耐震フレームとは外壁の窓周りに設置する柱状の部材のこと。窓を取り除くことなく窓周りの強度を高められます。

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耐震リフォームの費用相場

一般的な4LDKの2階建て住宅では、耐震リフォームの費用は150〜340万円が相場です。

ただし費用は延べ床面積やリフォーム内容によって異なるため、事前に補強が必要な部分を診断し、見積りを依頼しましょう。

耐震診断の流れ

耐震診断の流れは、診断を行う会社によって異なります。一般的には、以下の流れに沿って進められます。

予備診断

建物の概要を図面などから判断し、耐震診断のレベルを設定する。おおよその補強計画を建てて、リフォーム費用を概算で算出する。

第一次診断

現地に赴き、予備診断の内容を目視と実測によって確認する。柱や壁の断面積から耐震指標を評価する。

第二次診断

鉄筋やコンクリートの影響なども考慮して、より建物の耐震性を詳細に評価する。場合によっては一部の壁をはがして調査することも。

第三次診断

特殊構造や高層の建物などの調査。一般住宅で行われることはない。

耐震リフォームを行い安心して過ごせる家づくりを

耐震リフォームは、地震から家族を守るために重要な対策です。家を揺れや衝撃に強くすることで、地震が発生した際の安全性を高めることができます。

地震に対する不安がある方は、耐震リフォームを前向きに検討してみてください。

また、補助金制度を活用することで費用の負担を軽減できます。お住まいの自治体の補助金制度についても、確認してみてください。

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