住宅購入を住宅設備の観点から考える [ガス給湯器・新築戸建て編]
2023/11/22
2023/11/22
一生のうちで一番大きな買い物と言われている「マイホーム」。
広さ、間取り、立地、環境、価格などなど考慮すべき点が多数あります。
今ではWebで様々な情報を得ることができるようになりましたが、エアコンや給湯器、ビルトイン食洗機など設備の観点で良し悪しを語られることがなかったように思います。
この記事では住宅購入時に気をつけるべき住宅設備の確認方法などを解説いたします。
新築を建てる方、中古住宅の購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
住宅の給湯設備は大きく分けて「ガス給湯器」と「エコキュート」の2つが主流となっています。
どちらを選ぶべきか?については次回以降の記事で解説するとして、今回は新築を建てる際の給湯器の選び方と適切な設置場所をご案内いたします。
住宅内のお湯は給湯器を経由することになるため、給湯器からお湯を出す蛇口、シャワーまでの距離が長いと、お湯が出るまでの時間がかかり、また距離が長くなるだけ熱損率が高くなります。
「熱損率が高い」これは給湯器で作ったお湯が、蛇口やシャワーから出る際にぬるくなってしまうことを指します。
例えばリモコンで40度設定をしていても、「実際のシャワー温度は38度程度になる。温度が低いから42度に設定にしよう」となると、その分ガス代もかかってしまうことに。
給湯配管は通常保温等が巻かれているので、大きな熱損もありませんが、お湯を作ってから出すまでの距離が2mと10mで比較するとやはり差が出てきてしまいます。
給湯器を設置する際は、水回りに近い場所に設置することをオススメいたします。
一概に「水回り」といっても、キッチン、浴室、洗面、トイレがあります。
この内、給湯器のお湯を使用するのはトイレを除く「キッチン」「浴室」「洗面」の3箇所になります。
住宅設計、特にマンションなどでは顕著ですが、こういった水回りは排水勾配も考慮して近い場所に設計されることがほとんどです。
しかし、注文住宅などの場合は、住む方のライフスタイル合わせて設計する傾向が強く、水回りを1ヶ所にまとめるといった設計ではないことも多くなってきました。
ではお湯が出るまでの距離を短くするために、どの水回り近くに給湯器を設置したら良いのか?
正解は「浴室」になります。
一般住宅ではキッチンよりも浴室の方がお湯を多く使います。
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ノーリツ試算例 4人家族の年間給湯使用量
浴室:157,600L(湯張り:73,000L、シャワー:87,600L)
洗面:17,520L
キッチン:26,280L
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また追い焚きを使うとなると上記数値にプラスしてガス使用量が増えることになります。
ご覧のように、浴室での使用率はキッチン、洗面に比べ文字通り桁違いに多いので、水回りがそれぞれ独立した位置にある場合、給湯器は浴室近くに設置したほうが良い、といえます。
屋外に設置する給湯器は雨風にさらされても使用できるようになっています。
しかし、設置場所によって、給湯器にかかる負担は大きく異なります。
例えば直射日光が当たって温度変化の影響を大きく受ける南側と、常に日陰になっている北側ではどちらの方が給湯器の負担が大きいのか?
給湯器の交換シーズン、つまり壊れるのは気温が急激に下がる冬場です。
野ざらしでも使えるように設計されている給湯器も、外気温による影響があります。
では北側ならば給湯器は長く使用できるようになるのか?と言われると、一概にそうとはいえないのが難しいところです。
外気温と同じぐらい影響を受けるのが湿気です。
給湯器本体は一般的な防錆処理が施されていますが、経年劣化で防錆コートも落ち、中には交換時サビだらけになっている給湯器も珍しくありません。
サビが内部にまで出ないようにするためにはできるだけ風通しのよい場所に給湯器を設置する必要があります。
まとめますと、ガス給湯器は、直射日光が当たらず、風通しが良い面に設置したほうが良い、となります。
戸建てに採用される給湯器は外壁に取付ける「壁掛けタイプ」と床に置く「据置きタイプ」があります。
バリエーションが多いのは壁掛けですが、同じ機能を持つもので壁掛けと据置きがあった場合、どちらのタイプを選んだほうが良いのか?
迷うところではありますが、結論を申しますと
・床暖房などに対応した熱源給湯器は据置設置
・それ以外はどちらでもOK
となります。
ではなぜ床暖房対応の熱源給湯器は据置設置が良いのか?
それは本体が重いから、です。
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ふろ給湯器 20〜30kg
熱源給湯器 32〜44kg
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種類にもよりますが、ふろ給湯器よりも熱源給湯器のほうが約10kgほど重くなります。
壁掛け給湯器は外壁にビス4本で固定します。
通常時は良いのですが、大きな地震などあった際はこのビスに給湯器の重量が全て掛かる形となり、下地の状況によっては外壁にダメージを与え、給湯器本体が落ちてしまうケースも考えられます。
このため、戸建ての熱源給湯器では専用の据置台の上に給湯器を設置する据置設置が多く見受けられます。
ふろ給湯器でも重量があるタイプ、例えばノーリツの除菌機能付きプレミアムタイプなどは、壁掛けではなく据置台を利用した据置設置がオススメと言えます。
設置方法に関しては、後から変更が難しいため、新築時に十分考慮してお決めください。
▼据置き型給湯器について詳しくはこちら!
据置きタイプ給湯器の特徴や設置例|交換できるくん
一般的な給湯器は長方形のタイプは小型ですが、さらに狭小スペースへ設置できるように設計されたスリムタイプも存在します。
ふろ給湯器のスリムタイプは、通常のスリムタイプに比べ熱効率などの性能が若干低く、種類によっては24号タイプがない場合も。
特に気をつけたいのは熱源タイプのスリムタイプで、能力は十分ですが、通常タイプに比べ高額になるのが最大のネックと言えます。
住宅設計段階で、給湯器の設置スペースを十分に確保されていない場合にこういったスリムタイプ給湯器が採用されるようですが、通常タイプのものに比べてメリットはないので、新築時にあえてこのスリムタイプを選ぶ理由はありません。
予め一般的な給湯器のサイズが置けるよう、設置スペースを考慮に入れて設計することがおすすめです。
結論から申しますと「エコジョーズ」です。
エコジョーズが発売された際は従来型との差が大きく、一概にオススメとは言えませんでしたが、現在では従来型との価格差が小さくなり、初期にかかるコストを3〜5年程度のランニングコストで回収できるようになっているため、エコジョーズ給湯器の設置がお得でオススメと言えます。
エコジョーズは使用時に「ドレン水」は放出するので、ドレン排水の接続先を確保しておくことが重要になります。
▼エコジョーズについて詳しくはこちら!
エコジョーズ給湯器とは?仕組みやメリットについて|交換できるくん
・ガス給湯器は水回り、特に浴室に近い場所に取付ける
・直射日光が当たる場所は避け、日陰で風通しの良い場所を選ぶ
・ふろ給湯器は壁掛け、重量のある熱源タイプは据置台を利用した据置設置
・特殊なスリムタイプではなく、標準タイプが設置できるスペースを確保する
・エコジョーズタイプを選ぶ
新築設計時に見落としがちなガス給湯器ですが、生活必需品ともいえる住宅設備です。
より良い住宅を手に入れられるよう、後悔しない家づくりのために、本情報をもとに給湯器選びにご活用ください。
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