電気温水器とエコキュートの違いを比較!電気代はどっちが安い?
2023/11/23
2023/11/23
普段の生活でお湯を使用するのに欠かせない給湯器。近年は、ガス給湯器や石油給湯器の他に、電気でお湯を沸かす電気温水器や、空気の熱を使ってお湯を沸かす「エコキュート」も普及しつつあります。
本記事では、電気温水器とエコキュートをピックアップし、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
目次
電気温水器とは、電気でお湯を沸かす給湯器です。内蔵されている電気ヒーターでタンク内の水を温め、お湯にします。ガスでお湯を沸かすガス給湯器が主流ですが、近年はオール電化の新築住宅が増えてきたこともあり、電気温水器の利用が増えています。ガスを使わないため、ガス給湯器よりも安全性が高いことも特徴です。
電気温水器には、「貯湯(ちょとう)式」と「瞬間式」の2種類があります。
貯湯式とは、タンク内に溜まっている水をヒーターで沸かし、お湯にするタイプの電気温水器です。タンク内に沸かしたお湯を貯めているので、すぐに利用できるほか、災害時など、万が一のときにも役立ちます。
一方、瞬間式は、使用するときだけ水を沸し上げるタイプの電気温水器です。貯湯式のように、大量のお湯を作ることはできないものの、貯湯タンクは不要で設置スペースを節約できます。
さらに、電気温水器は給湯方法で3種類に分けることができます。
ボタン1つ押せばお湯はりから保温、追い焚きまでを全自動で行う「フルオート」、ボタン1つで自動でお湯はりできる「セミオート(もしくはオート)」、たし湯や追い焚きはなく、給湯のみのシンプルな「給湯専用」の3種です。
貯湯式の電気温水器なら、一定時間タンク内で保温しておけるため、万が一の停電や断水で電気や水道が止まっても、お湯や水を使えます。
くわえて占有面積が小さいのもメリットです。ガス給湯器だとガスボンベを、石油給湯器だと石油タンクを設置するスペースが必要になります。しかし、電気温水器ならお湯を沸かす電気ヒーターや貯湯タンクは内蔵されているため、本体の設置だけでOK。さらに瞬間式を選べば、さらにサイズはコンパクトになります。
また、電気温水器は稼働音が小さいです。ガス給湯器だと、循環ポンプの作動音が発生しますが、電気温水器は非常に静かに稼働するため、騒音で近隣に迷惑をかける心配もありません。
電気温水器は便利な点が多いですが、水圧が弱いというデメリットもあります。貯湯式では、貯湯タンクが破裂などを起こさないよう、減圧弁で内部を減圧する構造になっているのです。そのため、水道から直接水を出す場合と比べると、どうしても水圧は弱くなりがちです。
ただし、瞬間式の電気温水器なら、使用するときだけ水を沸し上げる構造であるため、水圧が高い状態で使えます。
また、貯湯式だとタンク内に貯められるお湯の量に限りがあるため、大量にお湯を消費すると、お湯切れになる可能性も。近年は、タンク内の残湯量を検知し、自動でお湯を増やす「自動沸き増し機能」が付いている製品もあります。
「エコキュート」は、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といい、ヒートポンプ方式で空気中の熱を利用してお湯を沸かす給湯器(給湯機)です。
ガス給湯器や電気温水器のようにガスや電気を使用せず、空気中の熱の力でお湯を沸かすため、省エネルギーで効率良く給湯できるのが特徴です。
エコキュートはお湯をタンクに溜める貯湯式のみで、給湯方法は電気温水器と同じく「フルオート」「セミオート」「給湯専用」の3種類があります。
関連記事:エコキュートの種類とおすすめの選び方|交換できるくん
エコキュートは、貯湯式の電気温水器と同様にタンクにお湯を貯めておけるため、災害などで電気や水道が止まっても、タンクに残ったお湯や水を使うことができます。
また省エネ効果が高いこともメリットの1つです。エコキュートには、大気中の熱を集めて、お湯を沸かす「ヒートポンプ方式」が採用されています。
そのため、電気温水器に比べて電気代が安く済むだけでなく、CO2の排出量も少ないです。さらに条件を満たせば、エコキュートの買い替えで補助金を利用できるケースがあります。
デメリットは大きく3つあります。1つ目が設置場所の確保が必要な点です。エコキュートを使用するには、室外に大きな貯湯タンクとヒートポンプユニットを設置しなければいけません。
2つ目が本体価格が高い点です。ただし、地方自治体や政府が推進している補助金を活用すれば、エコキュートの買い替えや交換にかかる費用を安く抑えることができます。
3つ目が稼働音が大きいことです。お湯を沸かす際に室外に設置したヒートポンプユニットから12.5Hz程度の低周波音が発生します。低周波音とは100Hz以下の音を指し、身近なものだと、車や船などのエンジン音、虫の声などが挙げられます。
12.5Hzという音量は、感知できるものではありませんが、聴こえ方や感じ方には個人差があるため、しばしば騒音問題になっています。
電気温水器とエコキュートのメリットとデメリットを踏まえたところで、改めて「設置場所」「環境負荷」「耐用年数」「静音性」の4つの観点から比較してみます。
電気温水器は、貯湯タンク本体を設置できるスペースがあれば十分。さらに瞬間式なら、サイズもコンパクトだから設置場所を自由に選ぶことができます。しかし、エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプの2つを設置する必要があるため、どうしても占有面積が広くなってしまいます。
電気温水器は、電気を消費してヒーターを稼働させるため、環境負荷が高くなります。一方、エコキュートはCO2冷媒を使用して空気を取り込む「ヒートポンプ方式」を使うため、エネルギー効率が高く、環境負荷を低減できます。
耐用年数の観点ではそこまで差はありません。使用頻度や設置場所によって異なるものの、電気温水器・エコキュートともに、耐用年数は10〜15年ほどといわれています。
参考サイト:エコキュートの寿命について|交換できるくん
製品によって異なりますが、電気温水器は稼働音が静かなものが多いです。エコキュートは、ヒートポンプユニットから12.5Hz程度の低周波音が発生します。冬など外気温が低い環境下では、さらに運転音が大きくなることがあります。しかし、近年は静音性に優れたエコキュートも出てきています。
では、電気温水器とエコキュートだと、どちらのほうが安く使用できるのでしょうか?
電気温水器は、初期の費用を安く抑えられますが、エコキュートよりも電気料金が高くつく可能性があります。エコキュートは初期費用こそ高いものの、自然冷媒を利用できるため、電気温水器と比べると電気代が安くなる傾向にあります。
本体価格によるため、一概にはいえませんが、本体価格と設置費用を合わせると、電気温水器よりもエコキュートのほうが2〜3倍高くなる傾向にあります。
電力会社や季節によって多少の変動はあるものの、電気温水器に比べてエコキュートの電気代は1/3〜1/4ほどで済むことが多いです。
電気温水器とエコキュートは、それぞれメリット・デメリットがあります。本記事を参考に、今後長く使用することをふまえて、ご家庭に適した給湯器を選んでください。
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