毎日の生活で頻繁に使用するお湯。そのお湯を使うために欠かせないのが給湯器です。給湯器のスイッチはキッチンや浴室の近くに設置されていることが多いですが、お湯を使い終わるたびに電源を切ったほうが節約になるのでしょうか?

今回は、給湯器の電源入れっぱなしにする場合と、都度消しにする場合の光熱費の比較や、電源を入れっぱなしにする際の注意点について解説します。

そもそも、待機電力とは?

給湯器を始めとする家電製品や電子機器類は、使用していない間も待機電力がかかっていることをご存知でしょうか。

待機電力とは、いつでも作動できるように消費されている電力のことを言います。待機電力は、コンセントに接続している限り、電源をオフにしていても発生します。待機電力は、消費電力と比べると微小ではあるものの、積み重なることで月々の電気代に影響を及ぼします。

給湯器

給湯器で電力が必要な箇所

給湯器 電源

では給湯器では、具体的にどの部分に電力が使われているのでしょうか。蛇口をひねってからお湯が出てくるまでのプロセスに沿って、給湯器で電力を消費する箇所を解説します。

水量センサー/温度センサー

水量センサーとは、給湯器内に流れ込む水を感知するセンサーです。お湯を出す際に蛇口をひねると、給湯器の中に水が流れ込み、その流れを水量センサーが感知します。これにより、お湯を沸かす準備に入ります。

お湯の温度は、温度センサーによって調整されます。温度センサーは水の温度を測定するセンサーで、給湯器の中にある給湯サーミスタや熱交サーミスタ、風呂サーミスタなどで使用されています。サーミスタとは、温度が上がったときに抵抗値が変化する電子部品のことをいいます。

ファンモーター

続いて、ファンモーター(送風機)が回りだしてガスの点火準備に入ります。ファンモーターはモーターを回転させ、ガスを燃やすために必要な空気をバーナーに送り込む役割を担っています。

イグナイター

そのあと、イグナイターとよばれる点火装置が火花を発生させます。「ignite(イグナイト)」とは「点火・発火」を意味します。

ガス量制御弁/水量制御弁

ガス量制御弁とは、炎を発生させるガス量を制御する部品です。イグナイターで点火した火花に、ガス量制御弁からガスと空気が流れ込むことで、炎が発生します。この炎で水をお湯にします。同様に水量を調整する水量制御弁もあります。

リモコン

リモコンの設定温度になるように、温度センサーとガス量制御弁が連動しながら、ガスの量を調整します。リモコン(操作パネル)は、給湯器の電源オン/オフや温度設定などの操作を行う液晶パネルです。温度管理だけではなく、自動湯張りや追い焚きなど、製品によってさまざまな機能が実装されています。

給湯器

給湯器でかかる待機電力はどのくらい?

給湯器 待機電力

※画像:関東電気保安協会HPより引用(ガス温水器が給湯器を指します。)

給湯器をつけっぱなしにしてもガス代はかかりませんが、待機電力は発生しています。一般的に、給湯器でかかる待機電力は、電源オンの状態で7W(ワット)ほどと言われています。

家庭にある電子機器のなかで、特に待機電力が多いのは、給湯器、テレビ、エアコン、電話機などです。なかでも給湯器の待機電力の割合は19%を占めており、電子機器のなかでもトップです。

給湯器の電源つけっぱなしと都度消しだと、どちらがお得?

給湯器 電源 入れっぱなし

待機電力を踏まえたうえで、給湯器の電源はこまめに切るのとつけっぱなしだと、どちらがお得なのでしょうか。1年間の電気代を算出するには、下記の式で計算をします。

「消費W数÷1000×使用時間×1kWhあたりの電気代」

給湯器の待機電力の消費W数は、前述のとおり7Wほどです。

電気代の単価は地域や契約によって変動しますが、「公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」が設定している電気代の目安単価は、2023年7月現在で31円/kWhです。以上を踏まえたうえで1年間の電気代を計算すると、下記のようになります。

7W÷1000×24時間×365日×31円(電気代)=約1,900円

つまり、1年中ずっと給湯器の電源をオンにしておくと、待機電力だけで年間2,000円近い電気代がかかる計算になります。給湯器の電源をこまめに切ることで、上記計算式の「使用時間」が少なくなり、数十円〜数百円ほどですが電気代の削減ができます。

また、最新モデルの給湯器なら待機電力が低い製品も多く、さらに電気代を抑えられるかもしれません。

給湯器を都度消しする際に注意したいポイント

給湯器 都度消し

給湯器を都度消しをすると、待機電力を節約できますが、いくつか注意すべき点があります。

給湯器のコンセントを抜くのは厳禁

こまめに電源を切るからといって、給湯器のコンセントを抜いてしまうのは厳禁です。給湯器には、内部が凍結しないように凍結防止機能(凍結予防ヒーターや自動ポンプ運転)が搭載されています。コンセントを抜くと、この凍結防止機能が効かなくなる恐れがあります。特に冬場などは配管に流れる水が凍結し、給湯器の破損や破裂につながるリスクがあります。

給湯器の電源の過度な都度消しは故障の原因に

給湯器は都度消ししたほうがお得ですが、あまりにも頻繁にオンオフの操作を繰り返すと電源ボタンに負荷がかかり、リモコン(操作パネル)が接触不良を起こすことも。長時間、誰もお湯を使わない際に消すなど、都度消しを頻繁にやりすぎないことも大切です。

給湯器の電源つけっぱなしが危ないケース

給湯器 電源 つけっぱなし

さらに、給湯器の電源をつけっぱなしにしておくと危険なこともあります。下記に当てはまる場合は、給湯器のつけっぱなしに注意してください。

バランス釜タイプの給湯器を使っている

バランス釜とは、浴室内の浴槽の横に並べて設置するタイプの風呂釜のことです。風呂釜と給湯器は似ていますが、正確には、下記のような違いがあります。

・風呂釜:浴槽に貯めた水を沸かしてお湯にする
・給湯器:蛇口やシャワーから出る水に熱を加えてお湯にする

ただし風呂釜にも、追い焚き機能やシャワー機能がある機器もあります。バランス釜は室外から空気を取り込んでガスを燃焼させ、発生したガスを外に排出します。取り込んだ空気と同じ量の排気ガスを外に排出するため、「バランス」とよばれるようです。

バランス釜は、給湯器をつけっぱなしにしておくと種火もついたままの状態になり、火災につながる恐れがあります。

給湯器の使用年数が10年以上経過している

使用年数が10年以上経過している古い給湯器も、つけっぱなしに注意してください。現在流通している給湯器には、さまざまな安全装置が備わっており、異変を察知すると警告してくれます。例えば給湯器自体が高温になったときに作動する過熱防止装置や、前述の凍結防止装置などがあります。

しかし、古いタイプの給湯器だと、これらの安全装置が付いていないものもあります。さらに長く使い続けていることで経年劣化や不具合が発生している可能性もあり、電源をつけっぱなしにすると火災のリスクが少なからず存在します。

これらの点からも、古い給湯器は電源を都度切るようにしてください。また、可能であれば、壊れる前に新しい給湯器への買い替え・交換をおすすめします。
参考サイト:ガス給湯器の寿命・故障のサインについて|交換できるくん

まとめ

給湯器は日々使用する機器なので、電源の都度消しを意識するだけで節電につながります。本記事で紹介したポイントに留意しながら、給湯器の使い方に気を付けてみてください。
参考サイト:今すぐできる!ガス給湯器で光熱費を節約するコツ|交換できるくん

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