エコキュート(エコ給湯器)の仕組みや原理、機能をわかりやすく解説
2024/07/08
2024/07/08
2023年には累計出荷台数が900万台を突破したエコキュート。歩いていてよく目にするという方も多いのではないでしょうか?
エコキュートはCO2の排出を抑えるということで、エコ家電としても認知されていますが、一体どのような仕組み・原理で動いているのでしょうか。
今回は、エコキュートがどういったものなのか解説していきます。
目次
エコキュートとは、空気の熱を利用して効率良くお湯を沸かす給湯機のことをいいます。電気給湯器は電気ヒーターで熱して直接水を沸かす仕組みになっていますが、エコキュートは、ヒートポンプユニットという仕組みを利用して空気の熱を汲み上げて高温化し、お湯を沸かします。沸かしたお湯は貯湯ユニットのタンクに貯めておきます。
エコキュートが湯沸かしをする時間帯は基本的に夜間になります。昼間に比べて電気代が抑えられるため、結果的に省エネで効率的にお湯を沸かせるのです。
エコキュートには、「ヒートポンプユニット」と「貯湯ユニット」という2つの設備があります。この2つのユニットを並べて屋外に設置し、両方が機能することでお湯の「生成」と「貯湯」が可能になります。
まずお湯を沸かすのはヒートポンプユニットです。ヒートポンプユニット内の熱交換器の冷媒(CO2)が大気中の熱を取り込み、コンプレッサー(圧縮機)で圧縮して、さらに高温・高圧にします。
この高温になった冷媒(CO2)が、ヒートポンプユニット内の水加熱用の熱交換器で水に電熱しお湯を沸かします。お湯が沸いたあとの冷媒(CO2)は、膨張弁のなかで低温・低圧に戻され、また次のお湯を沸かす際に用いられます。
ヒートポンプユニット内で生成されたお湯は、隣の貯湯ユニット内に貯められます。このとき、貯湯ユニットのタンクに貯められたものは熱湯です。お風呂や洗面所、台所などでお湯を使う際に、水と混ぜて設定温度に調節されます。
エコキュートは大きく「ヒートポンプユニット」と「貯湯ユニット」の2つの設備から構成されます。それぞれの構造を詳しく解説します。
ヒートポンプとは、空気中の熱(ヒート)を集め、汲み上げ(ポンプ)して移動させるシステムです。
気体は圧縮すると温度が上がり、反対に膨張(開放)すると温度が下がる性質をもちます。この性質をうまく利用して熱を移動させているのがヒートポンプです。
貯湯ユニットは、ヒートポンプユニットで沸かしたお湯を貯めておくタンクです。タンクに貯めているのはお湯だけではありません。上部にはお湯を貯めて、下部には水が貯まるように設計されています。上部と下部の間には混合層があります。
まず貯湯ユニット下部にある水がヒートポンプユニットに送られてお湯に変わり、そのお湯がまた貯湯ユニット上部に戻り、貯められます。
貯湯ユニット上部に貯まったお湯はお風呂や台所などで使われ、次第に減っていきます。すると、貯湯ユニット下部に給水され、その水がまたヒートポンプユニットに送られてお湯になって戻る、この一連の流れが繰り返されます。
製品によっては、便利な機能が付いているエコキュートがあります。代表的な機能をいくつかご紹介します。
ピークカット機能とは、電力需要がピークに達する時間帯(日中昼間)にエコキュートがフル稼働しないよう使用量を制限する機能です。
基本的に、エコキュートは夜間に稼働して消費電力を抑えますが、湯切れを起こすと昼間に自動で沸き増しすることがあります。ピークカット機能を使うことで、昼間の自動沸き増しを防ぎ、消費電力ひいては電気代を抑えることができます。
沸き上げ休止機能とは、設定した期間に沸き上げを休止できる機能です。一部、製品では不在設定という表記になっていることがあります。例えば、出張や旅行など不在であるのにもかかわらず、自動で沸き上げ続けていては余分に電気代がかかってしまいます。沸き上げ休止設定をしておくことで、不在中はエコキュートがお湯を沸かさなくなるため、電気代を抑えられます。
メーカーや機種によっては、マイクロバブルを搭載しているエコキュートもあります。メーカーによって名称は多少異なりますが、機能はほぼ同じです。マイクロバブルは、ISO規格(国際標準機構)で直径1〜100μm (マイクロメートル)の気泡と定められています。通常の気泡よりもはるかに小さいため、お湯の中に長時間残ります。
マイクロバブルが含まれているお湯に入浴すると、肌や毛穴に残った老廃物や微小なゴミを取り除き、美肌効果が期待できるとされています。
ソーラーチャージとは、太陽光発電の余剰電力を自家消費することで、夜間にお湯を沸かす量を最小限に抑える機能。太陽光発電を併用すると、よりおトクにキッチンやお風呂などを使うことができます。なかには、AIが翌日の天気予報と余剰電力を確認し、自動でソーラーチャージを行う製品もあります。
IoTが搭載されているエコキュートなら、外出先からスマートフォンでお風呂のお湯はりを開始できます。専用のアプリケーションをダウンロードしていればOK。お湯はりはもちろん、追い焚きやタンクの湯量設定なども可能です。
貯湯タンク内の熱湯をほとんど薄めることなく、60℃〜80℃の状態で足し湯をする機能。
追い焚き機能ではなく高温足し湯機能を使うことで、より節電効果を高めることが可能となります。
エコキュートは、自然冷媒(CO2)を採用したヒートポンプ方式で、環境にもやさしく、またムダな電気代も抑えることができる給湯器です。最新モデルでは、ソーラーチャージやピークカット機能などがついているものもあり、より節電効果を高めることができます。ぜひ、この機会に買い替え・交換を検討してみてはいかがでしょうか。
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