赤い実をつける南天(ナンテン)は、庭木として人気の高い植物です。丈夫で育ちやすいため、植物を育てるのが苦手な方でも、簡単に大きく育てられます。

一方で、生育しやすい南天は、育ち過ぎてしまいメンテナンスが大変になるケースもあるようです。育ち過ぎた南天は剪定をすることで、美しい樹形を保てます。

この記事では、南天の剪定の方法についてご紹介します。栽培のポイントについても解説をしているので、南天を育てている方はぜひ参考にしてください。

蛇口・水栓

南天の剪定の時期

南天は、6〜7月の夏前に花を咲かせ、11〜12月の真冬になると赤い実をつけます。花と実の両方を楽しめる植物です。

剪定を行う場合、真冬につけた実が落ちる2〜6月の間に行います。可能であれば4月までに、剪定を終わらせておくのがおすすめです。

剪定を避けたほうが良い時期は、花を咲かせ終えた後の夏〜秋です。この時期の南天は、実をつけるためのエネルギーを蓄えています。

剪定を行ってしまうと、その年は冬の楽しみである赤い実ができなくなるため、開花後の剪定は避けてください。

開花する前、【図解入り】南天の剪定の基本的なやり方

南天を剪定する際、まずは不要な枝を切り落としてください。画像のように、幹の脇から生える小さな枝や逆さを向いた枝、他の枝に絡みつくような枝は「忌み枝」と呼ばれます。

本来であれば、光合成をするために必要な葉を生やす枝ではありますが、樹木に十分な栄養があればカットしても問題ありません。
樹形を悪くするため、忌み枝は根元から切り落としてください。

葉の密度が高い枝を切り落として間引きをする際は、主枝を残すように注意します。また、主枝の花芽は切り落とさないことが大切です。花芽を残しておくことで、そこから再び枝葉が伸びて、赤い実をつけるまで成長できます。

花芽を見つけたら、2cmほど上から切り落としてください。

亜主枝(あしゅし)と呼ばれる、主枝から分岐して出た枝は、不要であればカットします。根元からカットして問題ないため、樹形を見ていびつだと感じたら切り落としてください。

大きくなりすぎ・伸びすぎな南天の剪定方法

南天が大きくなりすぎたり伸びすぎたりした際、丸坊主にして1から育て直す方法もあります。なるべく根元から切って背の低い幹にし、時間をかけて希望の高さまで育ててみてください。

「いきなり丸坊主にするのではなく、好みの高さで剪定したい」という場合は、希望する樹形の高さより少し低い位置で剪定するのがおすすめです。

カットする高さを決めたら幹にある花芽の位置を確認し、花芽より2cmほど高い位置で剪定をします。

花芽から枝葉が伸びて、翌年には希望する高さまで育ちます。

南天の剪定で失敗しないコツ

南天の剪定はそれほど難しくありませんが、やり方がわからないと失敗してしまうこともあります。

南天の剪定で失敗しないためのコツについて、ご紹介します。

剪定するのは「果実が実った枝」を優先する

南天の実がなった枝は、その後2〜3年は実を付けないとされています。実をつけていない間も樹木のエネルギーが行き渡っているため、実をつける枝にとって栄養不足の原因となるかもしれません。

剪定の際は、その年に果実が実った枝を優先的に落とすのがおすすめです。

剪定時期を間違えない

南天の剪定時期は、2〜6月です。時期を誤り、夏に入ってから剪定をしてしまうと葉が生い茂り、花芽を見分けにくくなることから、剪定に失敗しやすくなります。

また、花が咲いた後の南天は、果実をつけます。開花後に剪定をし果実が実る枝を切り落としてしまうとその年はさみしい姿になってしまうため、剪定時期は間違えないように注意してください。

枯れた枝を落とす

南天の剪定に慣れていないうちは、枯れた枝を落とすことから始めてみてください。枯れた枝は樹形を悪くするだけでなく、樹木のエネルギーが足りなくなる原因にもなります。

他の枝の成長を妨げるため、枯れた枝を見つけたら積極的に切り落としてください。

高低差をつけて樹形にリズムを出つける

樹形を整えるのは、素人には難しい作業です。とくに南天のような大きく成長する木は、丸いフォルムを保つのが困難とされています。

きれいにしすぎようとして切る場所を間違えてしまう、といったことがないように、剪定に慣れていないうちは枝に高低差をつけたデザインを目指すのがおすすめです。

枝の高さをバラバラにして剪定することで、「自然らしさ」を演出できます。また、高低差があることで光が樹木全体に行き渡りやすくなり、風通しも良くなります。

樹形を整える際は、高低差を意識してハサミを入れてみてください。

南天を栽培するポイント

南天は強い植物のため、栽培はそれほど難しくありません。肥料・水やりや病気&害虫対策、実をつけるコツなどをご紹介します。

肥料

南天を庭に直植えする場合は、有機質肥料と化学肥料を与えます。

花を咲かせる前の2月頃に有機肥料を与え、花を落とした後の9月頃に化学肥料を与えてください。与える量は、肥料に書かれている適正量を守るようにします。

鉢植えの場合は、鉢を植え替えるタイミングでカリとリン酸を多く含む肥料を、土に混ぜればOKです。

その後は、南天の成長を見ながら、必要であれば液体肥料を追加してください。

水やり

鉢植えで育てる場合は、土の表面がカラカラに乾かないように注意しながら水を与えてください。水をあげすぎると根が腐ることもあるため、量には注意が必要です。

地植えの場合は、とくに意識して水を与える必要はありません。あまりに何日も雨が降らない日が続くようであれば、水を与える程度で大丈夫です。

病気・害虫対策

南天にはカイガラムシがつきやすいとされています。カイガラムシは葉に黒い斑点をつくる「すす病」の原因となる虫のため、見つけたら駆除してください。

幼虫の状態のカイガラムシには、木酢液が有効です。木酢液はカイガラムシに直接ふりかけましょう。殻を身につけた成虫になると、殺虫剤が効きにくくなります。ハケなどで都度、木から落とすようにして駆除してください。

実を付けるコツ

南天は自分自身で受粉するのが難しいため、実をたくさんつけたい場合は、植えた南天の左右に別の種類の南天を2株、植えてください。

それぞれの樹の花粉が、それぞれの樹で咲いた南天の花に受粉することで、実ができやすくなります。

また、雨が続く日は花にビニール袋を被せて、花粉が流れないようにしてください。

南天を剪定して美しい庭木を楽しもう

かわいらしい花と赤く鮮やかな実をつける南天は、1年で2回、美しい姿を楽しめます。丈夫で育てやすく剪定も難しくないため、庭を彩る存在として取り入れてみてはいかがでしょうか。

ご紹介した剪定のやり方を参考にして、庭の南天を、より健康に美しく育ててみてくださいね。

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