青々とした芝生が広がる庭は、自然の気配を豊かに感じられます。また、芝生は花や庭石とも相性がよく、ガーデニングに華を添える存在です。

さらに、芝生のふかふかの手触り・足触りが、お子さまの外遊びやアウトドア遊びを促進させます。

たくさんのメリットを持つ芝生ですが、植える時期を誤ると、育成がスムーズに進まなくなります。健やかな芝生を育てるには、育成に適した時期や場所、植え方などを把握することが大切です。

この記事では、芝生を植えるのに適した時期や育成に必要な環境を紹介します。基本的な張り方や手入れの方法にも触れているため、芝生を庭に加えたいと考える方は、ぜひ参考にしてください。

蛇口・水栓

芝生を植えるのに適した時期とは?

芝生を植えるのに適した時期とは?

芝生は植える季節によって、育成状態に差が生まれます。芝生をより健康的に育てるには、どの時期に植えるのがベストなのでしょうか。

芝張りに適した時期は春と秋

芝生を植えるのに適した時期は、春と秋です。

春は、芝生の根が伸びやすく傷みにくい時期です。夏になるころには芝生の葉が成長を進め、秋頃にはきれいなグリーンのグランドカバーが完成します。育つまでに梅雨を挟むため、水やりの手間を減らせるのも、春に芝生を植えることのメリットです。

秋に植える芝生も、育てやすい傾向にあります。秋に張った芝生は病害の被害が少ないためです。

冬に入ると急に芝生の生育が止まりますが、エネルギーを貯めるために休眠してるだけのため、心配いりません。成長を止めた芝生は春になるころに貯めたエネルギーを解放し、新芽を出しながら再び育ち始めます。

芝張りに注意したほうが良い季節は夏と冬

夏は、水やりの頻度に注意が必要です。

芝生は乾燥にとても弱い植物です。根がしっかり定着するまでは、植えた直後からしばらくの間、1日複数回の水やりが必要になります。

冬は寒さによる乾燥と、根付くまで時間がかかる点がデメリットです。芝生が根付くまでは芝生を踏まないほうが良いため、冬の間に庭に出るのはなるべく控えてください。

芝生の育成に必要な条件

芝生を健康に育てるには、土の状態と日当たりが鍵です。それぞれ、どのような状態が芝生にとって良いのか、解説します。

土の状態

土の状態は芝生の健康に大きな影響を与えます。

芝生を健康に育てるには、水はけの良い土が理想です。粘土質の硬い土より、砂が多く水分を吸い込みやすいさらさらの土のほうが、水はけの良い土といえます。

土の水はけが悪いと、芝生の根が腐ることがあります。また、ぐずぐずになった土が芝生にかかり、芝生の光合成を阻害することも少なくありません。

また、芝生が健康に育つには、土の中に石がないことも大切な条件です。石があることで、根の成長が妨げられます。整地の段階で、石はなるべく取り除いてください。

日当たり

芝生は、日光を好みます。育てる場所は、1日中日が当たってる場所が適切です。

日当たりが悪い場所でも芝生を育てられますが、育成のスピードが遅くなります。また、日照不足によって芝生が枯れたり傷んだりといったトラブルも増えます。

最低でも、芝生は1日5時間は日光にあたる場所に植えたほうが、育成がスムーズです。

日当たりの悪い場所に緑のグランドカバーが欲しい場合は、タマリュウや人工芝など、日陰でも問題ないグランドカバーを検討してみてください。

芝生の張り方の種類

芝生の張り方の種類

芝生にはさまざまな張り方があります。おもな張り方は、以下の4種類です。

  • べた張り
  • 目地張り
  • すじ張り
  • 十字張り

それぞれの特徴を紹介します。

べた張り

べた張り

べた張りは、芝生を隙間なく張るやり方です。5つの張り方の中で、もっとも早く芝生が育ちます。

しかしべた張りは他の張り方より1.2〜2倍の芝苗が必要です。そのため、5つの張り方の中で、コストがもっともかかる方法です。

狭い範囲に芝生を植える際にべた張りを用いれば、コストの負担がそれほどかからず、緑の絨毯を早く完成させられます。

目地張り

目地張り目地張りは、芝生同士の隙間を2〜5cm開ける張り方です。各隙間がつながらないように、芝生の列をずらして並べるのが目地張りのポイントです。

芝生が生えそろうまでの期間はべた張りより遅いですが、芝苗の量を節約できます。

市松張り

市松張り

市松貼りとは、市松模様に芝生を張る方法です。目地貼りよりさらにコストを抑えられます。

ただし市松張りは、芝生が完成するまでもっとも時間がかかる方法です。のんびり芝生を育てたい方に、おすすめします。

すじ張り

すじ張り

すじ張りは5〜10㎝幅に切った細長い芝生を、同じく5〜10cmほどの間隔で1列に並べる手法です。

育成に時間がかかりますが、傾斜のある場所に芝生を植えるのに、便利な張り方です。芝生を敷き詰める場所の広さによっては、芝生マットをカットする必要はありません。

十文字張り

十文字張り

十文字張りは見た目は目地張りと似ています。しかしこちらは、「やってはいけない張り方」です。

目地張りと違い、十文字張りとは芝生同士の隙間が十字になるように芝生を植える方法です。水が芝生の隙間を勢いよく流れてしまうため、目土が留まりにくい点が十文字張りのデメリットです。

芝生の育成環境が悪くなるため、十文字張りを用いるのは避けてください。

芝生を張る手順

芝生はDIYでも施工が可能です。やり方はそれほど難しくないため、自分で芝生を育てたい方は、芝生を張る手順を覚えてみてください。

整地をする

整地をする

まずは芝生を植える場所に残った、石や雑草などを取り除きます。雑草が多い場合は、除草剤で枯らしても問題ありません。

雑草や小石を取り除いたら、芝生を植える場所を7cmほどの深さまで耕してください。耕して地面を平らにしたら、水はけの良い砂や山土を5cmほど敷き詰めます。

敷き詰めた後は、再び平らにならします。

平らにする作業の後は、土を上から踏み固めておくのがおすすめです。雨が降った後も、土に凹凸ができにくくなります。

踏み固めた水はけの良い砂の上には、芝生用の土を撒きます。芝生用の土はホームセンターで販売されているため、用意しておくのがおすすめです。

また、可能であれば、芝生用の土は排水溝に向けて少し傾斜をつけてください。水はけが良くなり、土が雨で傷むのを防げます。

芝生用の土を全体に撒いたら、再び平らにならしてしっかり踏み固めます。

最後に、全体に散水をして土を固定してください。

芝生を張る

芝生は、芝生用の土の上に置くだけでOKです。芝生を敷き終えたら、芝生の上から「目土」を被せます。

目土とは、粒のそろった細かい土のことです。根を乾燥から防ぎ、芝生の育成を助ける役割を持ちます。

目土は、芝苗の上に撒きます。1cmほどの厚さになるよう、量を調整しながら撒いてください。その後、ほうきを使って芝生全体と目地部分にも目土を行き渡らせます。

水やり

芝生の植え付けが終わったら、全体にたっぷりと散水します。張ったばかりの芝生は乾燥がしやすいため、水やりは高頻度でおこないます。

夏場であれば1日に複数回、そうでない季節は朝8時前に1日1回が水やり頻度の目安です。

給湯器

芝生が育ったあとのお手入れ方法

芝生が育ったあとのお手入れ方法

芝生は世話を怠らないことで、ぐんぐん芽を伸ばしていきます。芝生の芽が伸びた後は、きれいな緑を保つための手入れをしてください。

除草&柴刈り

春〜秋は、芝生と一緒に雑草も伸びてきます。伸びた雑草は手で抜くか、芝生と一緒に刈ってください。

雑草だけでなく、伸びてきた芝生もカットが必要です。見た目を整えることで、より鮮やかなグリーンの庭を楽しめます。

芝刈りの頻度は、芝生が3〜4cmほど伸びてきたタイミングが目安です。夏は週に1回ほど、春や秋は3週間に1回ほどの頻度で、芝生の葉をカットしてください。

冬は育たないため、柴刈りの必要はありません。しかし定期的に観察して、2cm以上伸びているようであればカットすることをおすすめします。

肥料

肥料を与えることで、健康的で青々とした芝生を長期間楽しめます。肥料は芝生の育成が進む3〜9月に積極的に与えるのがおすすめです。

芝生にとってベストな肥料は、芝生の種類にもよります。

一般家庭で選ばれることが多い日本芝・高麗芝の場合は、窒素成分が10%程度の化学肥料を20g/㎡ほどと、リン酸・カリウムが多い肥料を50g/㎡ほどを、それぞれ与えます。

不明点が残る場合は、ホームセンターに売っている「〇〇芝の肥料」「芝生に使用できる肥料」といった、すでに栄養の配合がされている肥料を活用すると安心です。

肥料を与えたあとは全体に散水をして、肥料が土になじむように整えます。

植える時期を把握して正しい芝生の育成を

植える時期を把握して正しい芝生の育成を

芝生がある庭は緑の気配を濃く感じられます。

草木や花、庭石などもグリーンが傍にあることでより映えます。そのため、庭の彩りに芝生はぴったりです。

また、芝生があることで、お子さまの庭遊びやアウトドア遊びもしやすくなります。

ぜひ庭の景観を美しくしたい方や庭をより有効活用したい方は、紹介した内容を参考にして、芝生の育成にチャレンジしてみてください。