エコキュート(エコ給湯器)のメリットやデメリット・問題点について
2024/07/08
2024/07/08
エコキュートは省エネ性能が高く、少ないエネルギーで効率的にお湯を沸かせる給湯器です。メリットが多い給湯器ですが、一方でデメリットも。
本記事では、エコキュートのメリット・デメリットを比較して解説します。
目次
エコキュート(エコ給湯器)とは、貯湯式の高効率給湯機です。大きな特徴は、ヒートポンプ技術を使ってお湯を沸かすこと。ヒートポンプ技術とは、空気の熱を利用し気体を圧縮させると水がお湯になる仕組みです。消費電力を抑えて効率良くお湯を沸かすことができます。
エコキュートのメリットは大きく以下の3つに集約されます。
1つめのメリットは省エネ効果が高いこと。エコキュートは夜間にお湯を沸かすため、昼間にお湯を沸かす従来の給湯器よりも、少ない電力で済みます。
また、夜間は昼間に比べて電気代も安くなります。夜間にお湯を沸かすことで、少ないエネルギーで済むだけではなく、電気代も抑えられるのがポイントです。
お湯を沸かす電力を抑えられるため、CO2削減にもつながります。2010年に、産業競争力懇談会が発表した資料によれば、エコキュートなどヒートポンプ技術を使った給湯器は、燃焼式給湯器と比べて一次エネルギー量はおよそ35%、CO2はおよそ50%の削減効果が期待できるとされています。
参照:低炭素化社会づくりに向けたヒートポンプの革新的技術開発と普及促進|産業競争力懇談会(COCN)
ガス給湯器では稼働に電力が必要になるため、停電時にはお湯が使えなくなります。しかし、エコキュートは沸かしたお湯をタンクに貯めているため、停電や断水などの非常時でも、タンク内のお湯や水を使うことが可能です。
エコキュートには良い側面だけではなく、デメリットも存在します。
エコキュートは、ガス給湯器に比べると、製品本体と設置費用が高くついてしまいます。
なお、エコキュートの設置や購入にかかる費用は補助金制度を活用することで負担を軽減できます。例えば、経済産業省・国土交通省・環境省の3省が連携した「住宅省エネ2024キャンペーン」の「給湯省エネ2024事業」を活用すれば、最大で13万円の補助を受けられます。
その他、各自治体が独自に実施している補助金制度やキャンペーンもあるので、お住まいの自治体の公式サイトを調べてみてください。
ガス給湯器は直圧式の給湯器です。直圧式の給湯器では水道の圧力をそのまま利用できるため、高い水圧でお湯を出すことができます。
一方でエコキュートは貯湯式で、タンクに貯めておいたお湯を給湯のタイミングで出すシステムです。そのため、直圧式の給湯器に比べてどうしても水圧が弱くなってしまいます。
エコキュートのタンク内に貯められたお湯は、そのまま飲むことはできません。エコキュートで沸きあげられたお湯は、空気に触れさせずに沸騰させて高温になっています。よって、ほぼ滅菌(めっきん)状態ですが、水道水を一度沸騰させたことで塩素(カルキ)が抜けてしまい、国が定めた水質基準の塩素濃度に満たないことがあります。
安全性を担保するために必ず塩素(カルキ)を入れることが決められているため、規定の塩素濃度に満たない水は飲用を推奨されていないのです。
加えて、エコキュートを長く使用していることで、水道水のなかに含まれる不純物が貯湯タンク内に付着・沈殿している可能性もゼロではないため、そのまま飲むことはおすすめできません。
エコキュートを使うには、ヒートポンプユニットと貯湯ユニット(貯湯タンク)の2つを並べて屋外に設置する必要があります。また、貯湯ユニットは内部にお湯と水を貯めておく必要があるため、ある程度の高さがあります。そのため、ガス給湯器と比べると一定の設置場所の確保が求められます。
貯湯タンク内のお湯がなくなってしまうと、水しか出なくなります。一度湯切れしてしまうと、再度お湯を沸かすために一定の時間を要します。湯切れを起こさないためにも、自分のライフスタイルにあった十分な容量の貯湯タンクを選ぶことが大切です。ただし、機種によっては、1日中お湯を満タンにする設定がついているエコキュートもあります。
エコキュートは基本的に夜間にお湯を沸かすため、ヒートポンプユニットの設置場所によっては稼働音が気になることも。
場合によっては、ご近所トラブルに発展する可能性もゼロではありません。特に、隣の住居と距離が近い場合は設置場所に十分注意してください。
上記のメリット・デメリットを踏まえたうえで、エコキュートはどのような人に向いているのでしょうか。
エコキュート単体でも省エネ効果が高いですが、太陽光発電システムや蓄電池と合わせて運用すると、さらなる節電・省エネ効果を得られます。例えば、太陽光発電による余剰電力をエコキュートに活用することで、消費電力を極力抑えることが可能になります。
このような省エネに特化した住宅を「ZEH(ゼッチ)住宅」とよびます。ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、高効率な設備システムを導入することで、快適な室内環境を保ちながら省エネの実現を目指しています。エコキュートを導入し、さらに太陽光発電システムもプラスすれば、ZEH住宅の実現にも近づきます。
エコキュートは貯湯タンク内に十分なお湯や水が貯まっていれば、災害時や停電時でもお湯や水を使えます。よって、非常時用の生活用水を蓄えておきたい方にはぴったりです。
非常時でも使えるお湯や水の量は貯湯タンクの容量によって異なりますが、常時370〜570Lほどは確保可能です。
2つのユニットを設置できるスペースが確保できる方にもおすすめです。エコキュートの設置に必要なスペースは製品やタンク容量にもよりますが、下記がおおよその目安となります。
ヒートポンプユニット | 貯湯ユニット |
横幅:800~900mm 奥行き:300~365mm 高さ:650~720mm | 横幅:600~700mm 奥行き:730~750mm 高さ:1800~2200mm |
エコキュートには、省エネ性能が高かったり毎月の電気代が抑えられたりと、多くのメリットがあります。その一方で、ある程度の設置スペースが必要、初期費用がかかるなどのデメリットもあります。新しくエコキュートを購入する予定がある方は、本記事で紹介したメリット・デメリットをぜひ参考にしてください。
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