エコキュート(エコ給湯器・ヒートポンプ給湯機)とは?特徴や歴史をわかりやすく紹介
2024/06/24
2024/06/24
CO2削減などの地球温暖化対策が進むなか、家庭でもできることの1つとして推奨されているのが「エコキュート」の買い替えや設置です。
本記事では、エコキュートの概要や歴史、他の給湯器との違いなどをわかりやすく解説します。
目次
エコキュートとは、家庭用給湯システムの1つです。最大の特徴はヒートポンプ技術によって空気熱を利用してお湯を沸かすこと。正式名称は『自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機』です。
エコキュートという名称は、「生態学」を意味する「Ecology(エコロジー)」と「給湯(きゅうとう)」をもじった「キュート」を組み合わせた造語から成り立っています。現在は関西電力の登録商標となっています。
いち早くエコキュートの開発に乗り出したのは、国内最大手の自動車部品メーカーである株式会社デンソーです。1995年にノルウェー工科大学のグスタフ・ローレンツェン教授の助力のもとに冷媒用ガスの基礎研究を開始。その後、1998年には電力中央研究所と東京電力との共同開発プロジェクトに発展し、ついに2001年には商品化が実現。この年、給湯器メーカーの株式会社コロナが世界初エコキュートの一般発売を開始しました。
2001年には「日経地球環境技術賞」、翌年に「第12回省エネ大賞 経済産業大臣賞」、米国環境保護庁「Climate Protection Award(気候保全賞)」など複数の賞を受賞しており、エコキュートの技術や性能が広く評価されています。
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが行った調査によれば、エコキュート累計出荷台数は2010年時点で約250万台、2021年には800万台、さらに2023年には900万台を突破したと公表されています。全体の約3割もの住宅にエコキュートが設置されていることがわかります。
関連記事:2023「家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機”エコキュート”の累計出荷台数900万台突破について」
エコキュートの他にも、ガス給湯器や電気温水器、ハイブリッド給湯器など、さまざまな種類の給湯器があります。
エコキュートも電気温水器も、沸かしたお湯をタンクに貯める点は同じです(なかには貯湯式ではなく瞬間式の電気温水器もあります)。エコキュートはお湯を沸かすときに空気の熱を使いますが、電気温水器は電気ヒーターを使用します。
電気温水器の機種にもよりますが、エコキュートと比べておよそ3倍の電気代がかかるといわれています。一方で電気温水器は、エコキュートのように大きな室外機を設置する必要がないため、設置スペースは少なく済みます。
エコキュートとガス給湯器の大きな違いはエネルギー源です。エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かしますが、ガス給湯器は都市ガスやプロパンガスなどを燃焼させてお湯を沸かします。
また、エコキュートは沸かしたお湯をタンクに貯めて使いますが、ガス給湯器は瞬間的にお湯を沸かします。そのため、エコキュートはガス代を抑えられるだけではなく、ガス漏れの心配がなかったり環境にやさしかったりと、さまざまなメリットが享受できます。
ハイブリッド給湯器とは、ガスと電気の双方を使用して、効率良くお湯を沸かす給湯器です。ハイブリッド給湯器では電気だけではなくガスも利用するため、湯切れをしてもすぐにお湯を沸かせます。しかし、エコキュートはタンクの中に溜めたお湯がなくなってしまうと、再度お湯を沸かすまでに一定の時間を要します。
エコキュートは従来型給湯器よりも効率的にお湯を沸かすことが可能になるため、光熱費の節約につながります。
さらに、貯湯タンクにお湯を蓄えておけるため、台風や地震などの災害で停電が発生してもお湯や水が使えます。
一方で、シャワーの水圧が弱い、お湯を沸かすときに音が多少発生するといった難点があります。基本的にエコキュートは夜間にお湯を作ってタンクに貯めます。その際、ヒートポンプから低周波音が生じるため、エコキュートの設置場所によっては騒音トラブルにつながる可能性もゼロではありません。
設置場所や使用方法、使用頻度によって異なりますが、エコキュートの耐用年数・寿命は、およそ10年です。エコキュートに限らず、家電製品の修理部品の保有期間は8年から10年程度といわれています。
10年以上経過したものは、万が一故障しても修理ができない、または新品のエコキュートを購入する費用よりも高くつくことがあります。
ちなみに購入から5年以内であれば、メーカーから無償保証が適用される場合があります。詳しくはメーカー公式お問い合わせページでご確認ください。
先に書いたとおり、エコキュートは一般的な給湯器に比べて電気代を抑えられます。ここでは、さらに電気代を節約するコツをいくつかご紹介します。
エコキュートの製品によっては、ピークカット機能が付いている機種があります。ピークカット機能とは、電気料金の単価が高い時間帯にヒートポンプの沸き上げを停止する機能です。なお、電気料金が高い時間帯は需要がピークに達する10〜17時頃とされています。
ピークカット機能がないエコキュートは、「湯切れ防止機能」をオフにすることで同様の効果を得ることができます。
太陽光発電を組み合わせることで、さらに電気代を節約できます。太陽光の発電量は晴天時の正午がピークです。太陽光パネルだけだと電気を貯めておけませんが、蓄電池を併用することで、太陽光で発電した電気を有効活用できます。そうすることで、電力会社から電気を購入する量を減らせます。
毎日使う給湯器は、できるだけ地球や財布にやさしいものを選びたいところ。エコキュートは初期費用こそかかりますが、日々の電気代を考えるとおトクです。給湯器の買い替えの際には、本記事を参考にエコキュートも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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