家事の負担を軽減してくれる家電の代表格が「食器洗い乾燥機」。しかし、賃貸住宅にお住まいの場合だと、分岐水栓の取り付けに戸惑う方も多いのではないでしょうか。「賃貸だから取り付けられないかも」「原状回復が必要って聞くけど…」と、不安や疑問を抱える方も少なくありません。

実は、賃貸住宅でもポイントを押さえれば、トラブルを避けつつ分岐水栓を取り付けることが可能です。この記事では、賃貸住宅での取り付け方法や注意すべきポイントを分かりやすく解説します。

食洗機の分岐水栓が取り付けできないケースとは?

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卓上型食洗機のうち「分岐水栓式」を設置する場合、既設の水道に分岐水栓を取り付ける必要があります。ただし、配管や水栓の老朽化やスペースが不足しているなどの問題から取り付けができないケースもあります。

水栓タイプが異なる

分岐水栓を取り付ける際は、すでに設置されている水栓と同じメーカーの製品を取り付けなければなりません。また、同じメーカーでも型番やデザイン(形状)などによって適合しないものも存在します。特に、古いタイプの水道だと、対応する分岐水栓が販売終了していることがあります。

蛇口・水栓

配管や接続部が老朽化している

水栓や配管などの老朽化が進んでいると、水漏れや破損するリスクが高くなるため、分岐水栓が取り付けられない恐れがあります。

特殊な配管や水栓を使用している

シャワー付き水栓、浄水器一体型水栓、海外製の水栓、非常に古い品番や型番の水栓など、特殊なタイプの製品を使用していると、取り付けが難しくなることがあります。

取り付けスペースが不足している

キッチンの構造や水栓の配置によって取り付けスペースが不足しているために、分岐水栓が設置できないケースもあります。特に、狭めのキッチンや収納スペースが多いキッチンなどでは要注意です。

賃貸住宅で取り付け工事に制限がある

賃貸住宅では、退去時に原状回復が求められます。分岐水栓式を設置する場合には、設置前に管理会社や大家さんに許可を取らなければなりません。

水栓の分解・交換作業が含まれるだけでなく、建物や水道設備に影響を与える可能性があるため、保証規定や許容される改修範囲について確認する必要があります。

水栓の交換や取り外しが禁止されている場合、無断で行うと契約違反となるリスクがあるため注意してください。

分岐水栓に対応していない水栓でも、食洗機を取り付ける方法

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分岐水栓に対応していない場合でも、工夫次第で取り付けが可能になります。ここでは、考えられる対応策をいくつかご紹介します。

分岐水栓の取り付けが可能な水栓に交換する

キッチンの水栓本体を分岐水栓の取り付けが可能なものに交換する方法です。水栓そのものの老朽化が進んでいるのであれば、新しいものへ取り替えるのがおすすめです。ただし、分岐水栓と同様に、物件の設備に直接手を加える行為となるため、事前に大家さんや管理会社へ相談してください。

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分岐水栓不要の食洗機を選ぶ

もっとも簡単な方法は、分岐水栓が不要な食洗機を選ぶことです。「タンク式」の食洗機であれば、分岐水栓の取り付けは不要です。ただし、タンク式の食洗機だと、都度自分で給水をする手間がかかります。

止水栓と食洗機を接続する

止水栓とは、キッチンや洗面所、トイレなど水回りの設備に供給される水の流れを個別に止めるための部品です。ハンドルを回すことで水を止めたり水量を調整できます。キッチンシンクの下の扉を開けた奥に設置されていることが一般的です。

この止水栓と食洗機を直接つなげば、既存の水栓を変更する必要がないため、取り付けが簡単になります。ただし、止水栓の位置や種類によっては設置が困難になるほか、不適切な接続方法をしていると水漏れや設備トラブルを引き起こす恐れがあるため、設置時には専門業者へ依頼することをおすすめします。

蛇口・水栓

食洗機の分岐水栓を自分で取り付ける方法

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食洗機の分岐水栓は、自分で取り付けることもできます。取り付け方法は水栓の種類によって異なります。

ここでは、水栓のなかでも代表的な「ハンドル混合水栓」と「シングルレバー水栓」の取り付け方について解説します。なお、作業をする際には安全のために必ずシンク下にある止水栓を閉めるようにしてください。

ハンドル混合水栓の場合

ハンドル混合水栓とは、1つの水栓で水とお湯を混ぜて温度を調整する仕組みを持つ水栓のことです。左右に回転するハンドルやレバーを操作することで、水量と温度を簡単に調整できます。ハンドル混合水栓の場合は、下記の手順で取り付けを行います。

1.ハンドルを引き抜く
2.ハンドル下のスピンドル、コマパッキンを取り外す
3.分岐水栓を取り付ける

分岐水栓を取り付けるハンドルのカラーキャップ(赤か青)を、マイナスドライバーを使って外します。どちらのハンドルに分岐水栓を取り付けるかは、ガス代や電気代などを考慮して選んでください。

次に、出てきたネジをゆるめてハンドルを引き抜きます。次に、レンチを使ってハンドル下のナットを取り外し、下にあるスピンドルとコマパッキンも取り外します。そのあと、向きに気を付けて分岐水栓を取り付けます。

シングルレバー混合水栓の場合

シングルレバー混合水栓は、1つのレバーで水の温度と流量を調整できるタイプの水栓です。レバーを前後や上下に動かすことで水量を、左右に回すことで温度を変更でき、直感的で使いやすいのが特徴です。シングルレバー混合水栓の場合は、下記の手順で取り付けを行います。

1.ハンドルを外す
2.「カートリッジ押さえ」と「カートリッジ」を外す
3.分岐水栓を取り付ける
4.外した部品を元通りに付け直す

まず、プラスドライバーでレバーハンドルを固定しているネジをゆるめて取り外します。そのあと、カートリッジ押さえとカートリッジを取り外したら、向きに注意しながら分岐水栓を取付けます。あとはカートリッジとカートリッジ押さえを元に戻して、レバーハンドルもネジで再固定します。

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食洗機の分岐水栓を取り付ける際の注意点

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自力で食洗機の分岐水栓を取り付ける際には、いくつか注意点を押さえておく必要があります。

分岐水栓は、既存の水道配管に新たに接続するための便利なアイテムですが、適切に取り付け作業を行わないと、水漏れや機器の不具合などのトラブルを引き起こす可能性があります。

接続部分は緩んでいないか

分岐水栓を取り付ける際に、再度取り付けた接続部分が緩んでしまうことがあります。特にナットが締まっているか確認してください。接続部分に緩みがあると水漏れリスクが高くなります。取り付け後は、実際に蛇口をひねって接続部分から水が漏れないか確認することをおすすめします。

パッキンは古くなっていないか

水栓にはUパッキンや三角パッキンなど複数のパッキンが取り付けられています。パッキンが劣化していると、接続部からの水漏れや故障などにつながる恐れがあります。水栓を分解したときに、もしパッキンの表面にひび割れや変色など劣化がみられたら、新しいパッキンへ交換することをおすすめします。

水栓が固着していないか

水栓が固着していると、取り付けが困難になることがあります。固着とは水垢やカルシウム、鉄分が堆積し、接続部分が固くなって動かしづらくなる現象のことをいいます。必ず取り付けを行う前に固着していないかチェックしてください。固着が進行すると水栓のハンドルやレバーが動かしにくくなり、無理に力を加えると部品が破損してしまう可能性もあるので注意してください。

食洗機のホースの長さや向きは合っているか

ホースの長さや向きを確認してから分岐水栓を取り付けてください。まずは、食洗機の設置場所と水栓の位置をチェックし、適切な長さのホースを用意します。ホースが短すぎると届かず、長すぎると余ったホースが邪魔になることがあります。また、取り付け後に向きを変えられない分岐水栓もあります。取り付け前に必ず分岐水栓の仕様、食洗機の位置とホースの向きを確認するようにしてください。

まとめ

食洗機の分岐水栓は、自分で取り付けできるケースが多いです。本記事で紹介した方法や注意点を参考に正しく対処してください。一方で、自身で取り付けをするのが不安な場合は、分岐水栓不要の食洗機を選ぶか、専門業者に依頼するのがおすすめです。

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