子育て世帯の支援の一環として、育児休業明けで時短勤務で働く人に対して、政府が現金を給付する案を検討しています。

今回は、その現金給付案の内容と、時短勤務をして給付金を受け取ることのメリットなどを見ていきます。
参考記事:子育て時短勤務に現金給付 育休明け、仕事と両立支援 雇用保険活用、政府検討

子育て世帯が現金給付される仕組み

政府は、子育て世帯の支援の一環として、育児休業明けで時短勤務で働く人に対して、現金を給付する案を検討しています。

育児休業明けでフルタイムで働くことが難しく時短勤務となった場合、フルタイムで仕事をする時と比較して賃金が減ってしまいます。その減った賃金の分を、現金を給付することで補うことで、子育て世帯を支援することを検討しているのです。

時短により6時間勤務となる

育児休業明けで、フルタイムで8時間勤務をしていた人が、6時間のみ働く時短勤務を希望した場合を考えてみます。

そもそもですが、育児・介護休業法で原則として勤務時間を6時間とする「育児のための短時間勤務制度」が決められています。そのため、育児休業明けなど制度を利用できる従業員がこの制度の利用を希望した場合、時短勤務にて企業で働くことができます。

基本的には子供が3歳になるまで、また企業によっては子供が就学するまで利用することもできます。

しかし、この制度を利用した時に6時間分の賃金しか受け取ることができないため、フルタイムで企業で働いていた時と比較して収入が減ってしまいます。

その際に、その収入が減ってしまった分を、給付金で支援することを政府が検討しているのです。

対象は雇用保険加入者であること

現金給付の対象は雇用保険加入者であることです。

雇用保険加入者というのは、週に20時間働いている人、かつ31日以上の雇用の見込みがある人のことです。

雇用形態は正規雇用に限らず、非正規雇用やアルバイトなど、どのような雇用形態でも適用されます。

給料の一定割合の賃金を雇用保険から給付され上乗せさせる

それでは、現金給付のお金はどこから捻出するのでしょうか?

政府は、雇用保険から現金を給付することを検討しています。

時短勤務の労働時間6時間の賃金のうち、一定の割合の賃金を給付し、賃金に上乗せする形で支給をするのです。

そうすることで、フルタイムで働いた場合に受け取ることのできる賃金と、時短勤務で働いた時に受け取ることのできる賃金と給付金の合計金額の差が少なくなります。

そのようにして、時短勤務を推奨することができると政府は考えています。

しかし、雇用保険財政には給付金を出すゆとりがないこともあり、財源確保が難しいのではないかという声も上がっています。そうした財源確保なども踏まえながら、給付割合や給付期間等具体的な内容については、今後2023年以降に議論が予定されています。

子育て世帯が時短勤務するメリット

それでは、どうして政府が給付金を支給する案を立ててまで、時短勤務を推奨しようとしているのでしょうか?

子育て世帯が育児・介護休業法の制度を利用し、時短勤務をすることで、子育て世帯にも企業にも、そして延いては社会全体にとってメリットがたくさんあるのです。そのため、現金給付を検討してまで推奨を検討しているのです。

今回は子育てと仕事、この2つの観点に大きく分けて時短勤務のメリットを見ていきます。

子供との時間をしっかりととることができる

まず、子育ての観点で見ると、時短勤務をし現金を給付してもらうことで「子供との時間をしっかりととることができる」というのが大きなメリットと言えます。

子供の生活の世話をするだけではなく、一緒に遊んだり勉強を教えたり、子育てにはとにかく時間がかかります。もちろん、仕事とのバランスも大切なので、フルタイムで仕事をしながら、家にいる時間は子育てに割く人も多くいますが、忙しい毎日を過ごすことになります。

フルタイムで仕事をして、子供を保育園に預けたり、金銭的に余裕があれば家にベビーシッターを呼んだりすることもできます。しかし、それでは子供との時間を多く過ごせなくなってしまいます。

子供が小さいうちは、特に子供の世話に時間がかかり、ストレスを強く感じる親も多くいます。しかし、子供はあっという間に成長して、親と過ごす時間はいつの間にか短くなってしまうものです。

だからこそ、これでもかというほど、子供との時間をしっかりととることで、その後子育てに後悔を残さないというのが大切です。

そのためにも、時短勤務がおすすめされているのです。

離職率を減らすことができる

次に仕事の観点で見ると、時短勤務をし現金を給付してもらうことで「離職率を減らすことができる」というのがメリットと言えます。

やはり、現金の給付がないまま時短勤務をすると、慣れない子育てと仕事の両立、また賃金減少も重なり、それが離職の原因となることもあります。一度離職すると、次の就職の機会を探すのに時間がかかってしまったり、収入が一時的になくなってしまったりして、結果的に子育てにも悪い影響が出てしまう可能性があります。

この子育ての両立については、松野官房長官も以下のようなコメントをしています。

「働き方やライフスタイルが多様化するなかで、男女が希望通りに働き、仕事か子育てかの二者択一を迫られることのないようにすることが重要です。年末に向けて、さらに議論を深めて頂きたいと考えています」

(参考:テレ朝ニュース)

そこで、時短勤務をしても、賃金が減らないよう現金を給付してもらえれば、無理なく仕事を続けることができ、離職する可能性も下がるのです。離職は働く人にとっても、その人を雇う企業にとっても悪い影響が出てしまうものです。政府としては、これを避けるためにも、時短勤務の推奨と現金給付の政策を進めたいと考えています。

まとめ

子育て世帯の支援の一環として、政府が検討している現金給付案について紹介してきましたが、いかがでしたか?

現段階で検討されている案の内容は、時短勤務となり賃金が減った分、一定の割合で現金を給付することで、減った分の賃金の一部を穴埋めする、というものでした。

子育て世帯が時短勤務で働き、そして給付金を受け取ることのメリットは大きく分けて2つあります。

1つ目は、子供との時間をしっかりととることができることです。2つ目は離職率を減らすことができることです。子育ての観点から見ても、仕事の観点から見ても、どちらにも大きなメリットをもたらすと言えます。

この現金の給付に関しては、給付の割合や期間等、詳細について今後議論が予定されています。子育て世帯にとってより子育てしやすい、そして企業や社会全体にとって子育てを支援しやすい内容になることが期待されます。

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