エアコンの室温を下げる機能には、冷房のほかに除湿もあります。どちらも室温を下げることに変わりはありませんが、電気代に違いはあるのでしょうか。また、使い分けるべき場面は?

本記事では、エアコンの電気代を節約したい方のために、除湿と冷房どちらがお得かについて解説します。

除湿(ドライ)と冷房の違いとは?

除湿 冷房 違い

除湿と冷房は、そもそも何が違うのでしょうか?どちらもエアコンに取り込んだ空気を冷やして室外に放出する点では同じです。双方の違いは、下記のとおりです。

・除湿(ドライ):「湿度」を下げる
・冷房:「温度」を下げる

除湿は空気中に含まれる水分(=湿気)を外に排出し、室内の湿度を下げます。湿度が下がることで室内が涼しく感じます。一方、冷房は空気を外に排出して、室内の温度を下げます。

除湿(ドライ)の種類

除湿 種類

一口に除湿といっても、実にさまざまな種類があります。

弱冷房除湿

弱冷房除湿は、室内の温度を設定温度まで下げるために、弱冷房をかける機能です。エアコンに取り込んだ空気を、そのまま室内に放出します。弱冷房がずっとかかっている状態になるため、普通の除湿よりも少し肌寒く感じるかもしれません。

再熱除湿

再熱除湿は、室温は下げずに湿度だけを下げる機能です。エアコンに取り込んだ空気を一旦冷やして除湿し、温度を上げてから室内に放出します。一度下げた空気を少し暖めて室内に出すため、「再熱」とよばれます。

空気を暖め直すため、冷房よりも多くの電気を使用します。そのため、3つの除湿の種類のなかでもっとも電気代が高くなる傾向にあります。

ハイブリッド除湿

ハイブリッド除湿は、取り込んだ空気中の水分を取って温度を下げ、その空気を室内に排出する機能です。冷却した空気を室温と混ぜて出すことで、室温に近い温度になり、極端に冷えすぎるのを防ぎます。再熱除湿に比べると消費電力を抑えられ、電気代も節約できます。

そもそも、エアコンの電気代はどうやって計算されているの?

エアコン 電気代 計算

そもそもエアコンの電気代はどのように計算されているのでしょうか?1時間あたりにおけるエアコンの電気代は、下記の計算式で算出されます。

1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(h)×料金単価(円/kWh)=電気代/1時間

2023年8月現在、全国家庭電気製品公正取引協議会によると、料金単価の目安は1kWあたり31円/kWhです。例えば、消費電力が700Wのエアコンを1時間稼働すると、下記の通りになります。

0.7kW(1時間あたりの消費電力)×1h(使用時間)×31円(料金単価)=21.7円

参照:よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会

除湿(ドライ)と冷房だと、電気代はどっちがお得?

除湿 冷房 どっちがお得

では、除湿と冷房だと、どちらの方が電気代が安くなるのでしょうか?

除湿と冷房の消費電力を比べると、消費電力が大きいものから、再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿という順番になります。

特に再熱除湿は、冷やした空気を再熱するため、電気代が高くなる傾向にあります。反対に弱冷房除湿やハイブリッド除湿は少ない電力で稼働できるため、電気代が安い傾向にあります。

ただし、室温と設定温度によって消費電力は変わるため、一概にどれが安いと言い切ることは難しいでしょう。大切なのは、状況によって適切な機能を使うことです。

除湿(ドライ)と冷房をどう使い分けるとベスト?

冷房 ドライ 使い分け

冷房は一気に室温を冷やすため、真夏など温度が高い季節に最適です。寒いのが苦手な方や、夜寝ている間に体が冷えるのが気になる方は、弱冷房除湿にする手もあります。

一方で、梅雨など湿度が高いときは除湿がおすすめ。少し肌寒いけど湿度を下げたいときは再熱除湿を、気温も高くて湿度も高いときは弱冷房除湿が適しています。

ちなみに、人が快適と感じる湿度は50%以下だといわれています。また、洗濯物を室内干しする際は、除湿運転にすると乾きが早くなるので、ぜひやってみてください。

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エアコンの除湿(ドライ)や冷房の電気代を節約する方法

エアコン 自動運転 節約

最後に、エアコンの除湿運転や冷房運転における電気代を節約する方法を解説します。

気温や湿度に合わせて使い分ける

前述のとおり、真夏など温度が高い日は冷房を、梅雨の時期など湿度が高い日は除湿を使うのがベターです。ただ暑いから冷房を使うのではなく、温度と湿度の高さで判断してエアコンを使うだけで節約効果が高まります。

サーキュレーターや扇風機を併用する

サーキュレーターや扇風機を回して風の流れを生むことで、室内の空気が循環し、効率的に部屋を冷やすことができます。サーキュレーターや扇風機は、エアコンが設置されている壁の真正面に置いてください。部屋中央に風を送るように、45度くらいの角度だと、ムラなく室内を冷やせます。

自動運転にする

気温が高い日は自動運転がおすすめです。自動運転にすると、設定温度に下がるまでは強風で運転し、室内が冷えてきたタイミングで弱風や微風に自動で切り替えてくれます。

最初は強風で冷やし、そのあと弱風や微風で冷えた室温をキープするという効率的な稼働をするため、無駄な消費電力を抑えられます。

つけっぱなしにする

エアコンは、稼働させてから設定温度になるまでの消費電力が特にかかります。1〜2時間ほど外出する際は、エアコンは切らずにそのままつけっぱなしにしたほうが消費電力を抑えられます。

少しの外出にもかかわらず、エアコンを切ると外出中に上がった室温をまた冷やすことになり、かなりの電力を消費します。その結果、電気代も上がってしまいます。

定期的にフィルターを掃除する

定期的にフィルターを掃除することも大切です。エアコンは使ううちに、内部のフィルターなどにほこりやカビが溜まります。フィルターが目詰まりを起こすと、空気をうまく排出できなくなり、消費電力が上がってしまいます。

フィルターは自分で取り外して掃除できます。1ヶ月に1回ほどを目安に掃除をするだけでも、エアコンの稼働効率が良くなり、無駄な消費電力を抑えられます。

古いエアコンは買い替えを検討する

古いエアコンは、思い切って新しいエアコンに買い替えるのも一案です。最新のエアコンは、節電効果に優れたモデルが揃っています。長く使い続けていると、経年劣化によって稼働効率が下がり、結果的に消費電力が増えている可能性もあります。

エアコンを購入して10年経過しているようなら、そろそろ買い替えをしてみても良いでしょう。国内主要メーカーでは、補修用性能部品の最低保有期間を、製造打ち切り後10年に設定していることが一般的です。つまり、10年以上経過したものは、故障しても修理できない可能性がきわめて高いです。

10年以上使用していて、冷暖房や除湿の効きが悪くなってきたと感じたら、早めに買い替えを検討するのがおすすめです。

まとめ

除湿と冷房だと、どちらが電気代が安いかについては、そのときの気温や設定温度によって消費電力は変わるため、一概にどちらが安いと言い切ることは難しいです。

しかしながら、その日の気温や湿度、自身の体調に合わせて、冷房と除湿を使い分けることで、効率的にエアコンを活用することは可能です。ぜひ、本記事を参考に無理なく電気代の節約をしてみてはいかがでしょうか。

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