「エアコンの取り付けが自分でできれば、取り付け費用の節約になるのに……」

エアコンを交換したり新しく購入したりする際、このようなことを考える方は多いかと思います。

資格がなくてもエアコンの取り付けは可能です。しかし取り付け作業の中には、資格がないとできないこともあります。

この記事では、無資格・有資格それぞれでできるエアコン取り付け作業の内容をご紹介します。

資格や経験がない状態でエアコンの取り付けを行うのはとても危険です。エアコンの設置を検討する方は、必ずプロに依頼してください。

エアコンの取り付けに必要な資格

エアコンの取り付けを行うこと自体に、資格は必要ありません。しかし取り付けに伴う工事の内容によっては、資格が必要になることもあります。

以下は経済産業省が公開している、電気工事士の資格が必要な工事とそうでない工事を示した図です。

画像引用元:経済産業省「エアコン設置・修理に係る電気工事士法の対象となる主な作業について

資格なしでできる工事の範囲と、資格がないとできない工事の範囲を解説します。

資格なしでできる工事の範囲

資格を持たずに対応できるエアコンの取り付け工事の範囲は、「取り付け」に特化した内容のみです。

具体的には、以下の作業が該当します。

  • ・ 室内機の取り付け
  • ・ 室外機の取り付け
  • ・ 化粧カバーの取り付け
  • ・ 壁の穴あけ工事
  • ・ アース線取り付け
  • ・ 真空引き工事

これらの作業を行う場合、特別な資格は必要ありません。そのため上記の作業の範囲であれば、素人でもエアコンの取り付けが可能です。

しかしエアコンの取り付けは配管の位置やエアコンの取り付け角度など、細かい部分に注意が必要です。経験がない人が取り付けると、うまく動かなかったり水漏れが発生したりすることもあります。

資格が必要になる工事の範囲

エアコンの取り付け工事で資格が必要になる作業は、電気工事が伴う内容です。具体的には、以下の通りです。

  • ・コンセントの増設・移動など
  • ・内部接続線(電線)の固定・接続
  • ・防護装置の取り付け作業
  • ・業務用エアコンの設置(使用電圧が600Vを超えるもの)
  • ・電気に直結する配線工事

エアコンの取り付けをする際に電気関連の作業が発生する場合は、「第二種電気工事士」の資格が必要になります。

また、資格を取得した方がエアコンの取り付け作業をおこなう場合、工事内容によっては電気工事業の登録も必要になります。建設業許可の有無によっても登録の必要性が異なるため、事業を展開する際は行政書士や窓口などに相談をしたほうが安心です。

エアコンの取り付けを資格なしの未経験者がやるリスク

エアコンの交換のみの作業であれば、無資格でもできます。しかしエアコンの取り付けを経験や知識がない方が対応すると、次のリスクが生じます。

  • ・家に傷がつく可能性
  • ・エアコンが稼動しない
  • ・エアコンの故障
  • ・転倒やケガのリスク

それぞれの内容を、解説します。

家に傷がつく可能性

エアコンの取り付け経験が浅い方がエアコンを設置すると、工具やエアコンが壁や柱にぶつかり、家を傷をつけてしまうことがあります。

とくに配管パイプ用の穴を壁にあける際には注意が必要です。壁の中には柱や筋交いなど、家を支える構造部分が多くあります。

うっかり傷をつけてしまった結果、大規模な改修工事が必要になるケースも考えられます。

エアコンが稼動しない

手順に沿って取り付けたつもりでも、電気配線のミスや傾きが生じることがあります。これらも、素人がエアコンを取り付ける際に生じやすい失敗です。

取り付けに失敗をした結果、最終的にプロに相談が必要になるケースも考えられます。

不要な手間と費用が発生してしまうため、エアコンの取り付け工事を素人が行うことはおすすめしません。

エアコンの故障

エアコンの取り付けの際に手順を誤り、エアコンが故障することもあります。

エアコンの買い直しが必要になってしまうため、不安な方は資格を持ったエアコンの取り付け業者に依頼をしたほうが安心です。

転倒やケガのリスク

エアコンの取り付け作業は脚立が必要です。足場が安定しない上にエアコンは重量があるため、慣れていないと転倒やケガのリスクが発生します。

エアコンを落としたり脚立から転倒したりして、家族を事故に巻き込んでしまう可能性もゼロではありません。

そのため、エアコンの取り付けの際は慎重な作業が求められます。

天井カセットエアコン

エアコンの取り付けをプロに依頼した費用相場

資格を持たない一般の方でも、エアコンの取り付けは可能です。しかし素人によるエアコンの取り付け作業は、取り付けに失敗したりケガや事故などのリスクも生じたりする可能性があります。

そのため、エアコンの取り付けはプロに依頼をしてください。

エアコンの取り付けをプロに依頼した場合、取り付け工事だけであれば1万5,000円〜2万5,000円ほどが費用相場です。

取り外しや不要なエアコンの回収、配管の化粧カバーを取り付けた場合などは、さらに追加料金が発生します。工事費には余裕を持って、4万円〜5万円ほど用意しておくと安心です。

【おまけ】エアコンの取り付け業者は稼げない?年収の相場

エアコンの取り付け資格を取り、エアコン業者として活躍を検討している方もいるかと思います。

エアコンの取り付け業者として仕事をするにあたって、気になるのが年収です。転職サイトに記載されている2024年5月16日現在のエアコン取り付け会社社員の年収は、400万円前後が給与相場とされています(※1)。個人事業主として働いた場合、500〜800万円ほどが年収の目安です(※2)。経験を積んだ取り付け業者の中には年間1,500万円以上を稼ぐ人もいるようです。

また、エアコンの取り付け業者は、収入の大半を繁忙期である夏前後に稼ぐため、閑散期は仕事がないことも少なくありません。メリハリの利いた働き方ができる点も、エアコン取り付け業者として働くメリットです。

※1…「日本でのエアコン取付の平均給与|indeed

※2…「エアコン取り付けの業者の年収は?稼ぐためのポイント |独立開業コラム

エアコンの取り付けに必要になる資格の獲得方法

エアコンの取り付け業者は電気工事士以外に以下の資格を持っているケースが多いとされています。

  • ・高所作業車
  • ・ガス溶接技能講習修了
  • ・冷媒フロン類取扱技術者

これらの資格は、講習が必要です。講習後にはペーパーテストや実技試験などが実施されます。中には取得まで時間がかかる資格もありますが、持っていればエアコン取り付け業者としての仕事の幅が広がります。

エアコン取り付けに必要な資格の取得を考えている方は、ぜひこれらの資格も検討してみてください。

エアコンの取り付けはプロに依頼をしよう

エアコンの取り付けだけであれば、資格がなくてもできます。しかし経験がないと、事故や故障などのリスクが伴います。

エアコンの取り付けは自分でやろうとせず、必ずプロに依頼をしてください。

安全に設置されたエアコンを使用し、快適な日々を送れたら良いですね。

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