“運命の物件”に購入申込みをしたものの、
売主さん側の「抵当権が抹消できない」というまさかの事態に直面し、
ほぼイチから家探しを再開することとなった僕カナモト。
「もう僕はマイホームを手に入れられないかもしれない」
―そんなことまで考え、落ち込んでいたものの、意外と良き出会いはすぐに訪れるもので笑。
「何としても年内に購入したい」という思いで動くカナモト、果たしてどうなるのでしょうか?

譲れない希望を伝え、いざ仕切り直しの家探し。

時は師走。“運命の物件”の購入をあきらめてから、
サノさんから新たな物件情報の知らせが何度か届いていたが、
どれも僕の琴線に触れるものはなかった。
サノさんもカナモトの住宅購入がなんとか年内に決着つくよう頑張ってくれている。
ただ、どこか僕の嗜好からズレた提案が多くなってきたように思えた。
そこで再度、価格面以外の“これだけは譲れない”という希望を
なるべく絞ってシンプルにサノさんに伝えてみた。

「横浜市中区西区のベイエリア」
「ちょっと面白さやクセのある物件がいい」

難しい注文かもしれない、ただこれだけは絶対に妥協したくないのだ。
すると数日後、新たにサノさんが紹介してくれた5件の物件の中から
僕の心をくすぐるものが3件もあったのだ。
「スゴいよ、さすがサノさん。」と心の中で叫びながら、内見をお願いした。

やっぱりルーフバルコニーで月見酒が飲みたいんじゃ!

1件目は、横浜のとあるリバーサイド(川沿い)に位置する
新築RBL(ルーフバルコニー)物件である。マイホーム探しを始めた当初、
中古のルーフバルコニー付きマンション物件を探していたこともあり、
戸建て住宅であっても叶うのならバルコニーやテラスがあるといいな~
くらいには思っていたのだが、そんな物件があったのだ。
月明かりのもとで横浜の夜景を見ながらビールを飲む
なんていう夢が叶ってしまうかもしれないと心躍らせていた。

間取りは「2LDK +P +Loft +ルーフバルコニー」。
1Fに駐車場があり、玄関と浴室と約5畳の部屋、
2Fが約12畳のLDKと約5畳の部屋の上に4畳のロフト、
3Fがルーフバルコニーという仕様であった。
ちなみに、外観はエメラルドブルーである。

実際に中に入ってみると、新築なだけあって、
めちゃくちゃ綺麗で今風のオシャレ感プンプンであった。
ただ、思いのほか、狭かった。

そう、物件は敷地面積約43㎡(約13坪)、延床面積約65㎡(約20坪)、
横浜ならではの狭小地を利用した極小物件だったのだ。
だから、新築といえど、カナモトの希望価格内で収まっていたのだろう。
狭いことはサノさんからいただいた物件チラシを見ていた時点で
重々承知でいたが、改めて実感として“狭さ”を感じてしまった。
1人暮らしには十分な広さであったが、将来的には家族ができて、
一緒に住めたら…なんてことも考えていた僕には、やはり狭かった。
そして、ルーフバルコニーから見えるのは横浜の絶景ではなく、
物件の全面に広がる高速道路の高架橋であった。

僕は「次の物件、お願いします!」と何の未練もなく、サノさんに伝えた。

えっ、フリーランスでも注文住宅つくれるの!?

続いて、サノさんが案内してくれたのは、最寄りのバス停まで徒歩30秒、
最寄り駅となる元町・中華街まではそのままバスで15分という
“約65㎡(約19坪)の土地”であった。
土地を買って、注文住宅を建てようというのが、サノさんの提案だ笑

こちらもいわゆる“狭小”と言える土地であり、価格が比較的安価なため、
そこから上物の建設費用をプラスしてもカナモトの希望価格内に収まるだろう
というのがサノさんの見立てであった。
僕のような零細フリーランスでも注文住宅が作れるのか、
可能ならばそれこそ一番面白くてクセのある選択なのではないかと思っていた。

さて、実際にサノさんに案内され、土地を見てみると、
目の前には周辺住宅の中にポッカリと空いた野原が広がっていた。
そりゃ、そうだ。土地なのだから。
まだ何もない土地を見ながら、予めもらっていた参考建築プランをもとに
未来のカナモト’sホームを思い浮かべてみた。

間取りは、3LDK。延床面積は約80㎡。
1Fに玄関とトイレ・浴室と7畳の部屋、2Fに14畳のLDKとバルコニー、
3Fに7畳の部屋が2間という仕様であった。
3Fの一間をサンルームにして、ガーデニングやBBQを楽しめるようにしても
良いかもなどと勝手な妄想も膨らんでいた。

「フリーランス、注文住宅を建てる」なんてブログでも始めようかな~
くらいに盛り上がっていたカナモトであったが、こちらにも懸念点はあった。
前面道路が階段であり(下を見下ろせば横浜の絶景が広がっているのだが)、
土地のある場所は土砂災害警戒区域に指定されていた。
そこそこ危険が伴うかもしれない土地なのである。
「崖の上のカナモト」―もし土地を購入し、注文住宅を建てた場合に
そんなギャグがまかり通ってしまうような場所に位置していたのだ。

悩みに悩みながら、「3件目、お願いします!」とサノさんに伝えた。
良き出会いが訪れるのだろうか?