育てやすい果物の木として庭に植える人が多い『柿の木』は、古くから人気の高い果樹として日本全国で親しまれています。美味しい柿を収穫するためには、正しい剪定と摘蕾(てきらい)・摘果(てきか)作業が欠かせません。

この記事では、柿の木の成長具合による剪定のコツや収穫を視野にいれた仕立て方、摘蕾・摘果作業のコツをご紹介します。庭の柿の木のお手入れをご検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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「柿の木」についておさらい!

柿の花

柿の木とは、その名の通り「柿」が成るカキノキ科カキノキ属の落葉樹です。日本や中国など東アジア原産の植物で、日本でも古くから親しまれているフルーツです。

耐暑性も耐寒性も強く、誰もが気軽に育てられる庭木として人気があります。5月ごろには小さな白い花を付け、爽やかで可憐な印象をあたえます。
花が咲いた後、そのまま花の「ガク」部分に実がなるため、花の数が実の数になると考えて良いでしょう。

お金を「かき」集めるといった意味から、縁起の良い植物ともみなされています。また、新居に植えるシンボルツリーや中庭に植える木にふさわしいと人気を集めているようです。

柿の木の剪定時期は?

柿の実

柿の木は12月~2月の冬の間に剪定を行います。基本的には毎年剪定を行うことで、美味しい柿を収穫できます。

というのも、柿の木は『その年に新しく伸びた枝先に花芽をつける』といった特徴を持つため、毎年古い枝を剪定し新たな枝を増やすことで、花芽を増やし、実がなるチャンスを増やせるのです。

長く伸びてしまった徒長枝や内側に向かって伸びている枝など、不要な枝を整理すれば、日当たりが良くなり、木に栄養が回りやすくなります。養分が実に蓄積されれば、美味しい柿の実の収穫が期待できます。

柿の木の剪定前に用意しておきたい道具

柿の木を剪定する前に、以下の道具を用意しておきましょう。

  • 軍手
  • 剪定バサミ
  • 剪定ノコギリ
  • 脚立
  • 癒合剤

枝を切る際には、細めの枝は剪定バサミで、太めの枝は剪定ノコギリを使い剪定します。剪定前と剪定後に刃の消毒をすると、切り口を清潔に保てるため、病害虫の予防に繋がります。

高い位置の枝を切る際には、脚立を使って作業します。高枝バサミがある場合は、高枝バサミでも問題ありません。

柿の木の剪定方法(若木の場合)

植えたばかりの若い木は、形を整えるように少しずつ剪定します。毎年剪定しなくても構いません。樹形や成長度合いを見計らいながら、必要に応じて剪定します。

剪定時は、幹から映える太い枝(主枝)は、形の良いものを2〜3本残し、残りは剪定します。斜め上〜横向きに生えている主枝を残すようにしてください。主枝と主枝の感覚は30cm~50cm程度離れていると理想的です。

若木のうちは、木の幹に日が当たるよう意識して剪定すると成長が早まります。枯れた枝や内側に伸びている枝など、見込みのない枝は早いうちに剪定しておきます。

柿の木の剪定方法(成木の場合)

柿の木が十分成長し、5mほどの樹高になったら、幹の上部をノコで剪定します、そうすることで、木が横方向に伸び、柿の実がなりやすい形状になります。植えてから6年、遅ければ12年程で5mまで成長します。

実が収穫できるようになったら、毎年剪定を行います。
新しい枝先に実がなるため、前年の枝は切り詰めないようにし、不必要な枝を剪定していきます。古い枝や下向きにはえた枝、他の枝にぶつかりそうな枝などを剪定します。

もし万が一、剪定後に実が付かなくなってしまった場合は、枝先の切り詰めすぎが原因と考えられます。
全ての枝先を切り詰めると花芽がつきにくくなってしまい、隔年結果(かくねんけっか)になる可能性があります。
隔年結果とは、花芽が全く付かない年と花芽が付きやすい年が交互にやってくる状態で、収穫数に大きな影響を及ぼします。

毎年収穫したい場合は、先端を切り詰めすぎないよう注意してください。
心配な場合は、透かし剪定を中心に剪定すると安心です。

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摘蕾・摘果のコツ

柿の木の花は雌花と雄花があり、通常は受粉させなければ実がなりませんが、柿の木は単為結果性という受粉させなくても実がなる性質を持っているため、雌花だけ・雄花だけでも実ができます。
しかし、甘柿を収穫したい場合は、受粉させた方が甘柿になりやすい傾向があるため、工夫が必要です。

美味しい柿の実を収穫するために欠かせない作業のひとつが摘蕾(てきらい)・摘果(てきか)です。
摘蕾・摘果を行うことで、毎年おいしい柿が収穫できるようになります。

摘蕾は、5月ごろ行います。
新しい枝1本につき、蕾が1つになるように、蕾をつまみ取る作業を行います。
枝の真ん中あたりにあり、やや下向きに付いている蕾を残すようにしてください。また、葉が少ない枝に蕾がついた場合、その枝の蕾は全て取り除きます。

摘蕾で花数を制限したら、さらに摘果で実の数を調整します。
枝葉の枚数が20枚〜30枚に実が1個になるよう青い実を取り除きましょう。
変形しているものや実が上を向き日焼けしてしまっているものなどを優先して取り除いていきます。

摘蕾・摘果することで、残った実に栄養が蓄積され、甘くて美味しい柿を収穫できます。また、木の体力を使い果たさないため、翌年の花芽確保も期待できます。

知っておくと役立つ柿の木剪定のコツ

柿の木の剪定

最後に柿の木剪定のコツを3つご紹介します。
基本的な剪定方法がわかれば、あとはこのコツを意識しておくだけで、美味しい実を収穫できるようになるはずです。

枝が横向きになるように剪定する

上向きに伸びる枝は、実が付いた時に日焼けしやすく、収穫もしずらいため、果樹の枝としてはあまり良い枝ではありません。残す主枝を選ぶ時には、横向きに伸びる枝を優先し、上向きに伸びる枝は切り落としてしまいましょう。

横向きの枝の中でどの枝を残すか悩んだ時は、比較的上向きの枝を残します。柿の木は実をつけると重みで枝が垂れ下がるので、新しい枝はある程度上を向いていても問題ありません。

毎年行う

柿の木の剪定は毎年行います。放置していても、ある程度実をつけるため、そのままでも良いのでは?と思うかもしれませんが、放置すると古い枝が太くなり、剪定が大変になります。また、不要な枝に養分が奪われるため、木の寿命も短くなってしまうでしょう。

剪定を行うことで、木の内部の風通し・日当たりがよくなり、病害虫も防げます。柿の木はヘタムシという害虫がつきやすいので、害虫予防のためにも剪定で木の状態を良好に保つことが推奨されています。

柿の木は寿命が長いため、毎年剪定していれば50年〜100年と長い間収穫を楽しめます!

摘果は「生理落果」後に

柿の実を早いうちに摘み取る摘果作業は、蕾と異なりある程度実が大きくなるまで待ちましょう。というのも、梅雨の時期に生理落果(せいりらっか)という現象で、柿の木が自らいらない実を落としてくれます。
生理落果が落ち着いた7月から8月上旬に、摘果を行うことで、適切な実を残すことができます。

まとめ

柿の木は毎年剪定することで、美味しい実をつけてくれます。自分で収穫した実の味は格別です。
柿の木のお手入れをする際には、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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