高効率給湯器の1つであるエコジョーズは、高い省エネルギー性能やガス代の節約につながることから人気があります。

ただし、高機能なエコジョーズでも、条件によっては他の給湯器を選んだほうが良い場合もあるかもしれません。本記事では、エコジョーズに向いている人・向いていない人を解説します。

給湯器

エコジョーズとは?

エコジョーズとは、ガス給湯器の一種です。正式名称は「潜熱(せんねつ)回収型ガス給湯器」といいます。大きな特徴は、高効率のガス燃焼技術を用いて排気熱を再利用した湯沸かしができる点です。

通常の給湯器では、取り込んだ水をガスで燃焼してお湯に変えます。その際、約200度の排気熱が使われずにそのまま外に放出されます。エコジョーズでは、この排気熱を回収し熱源として再利用します。そのため、ガス消費量やCO2排出量を削減しながら湯沸かしをすることが可能となるのです。

エコジョーズとエコキュートの違い

エコジョーズとエコキュートは、どちらも省エネルギー型の高効率給湯器です。双方の違いは、湯沸かしに使用する熱源や湯沸かしの仕組みにあります。

エコキュートの特徴は、ヒートポンプ技術で空気中の熱を使ってお湯を作ること。空気中の熱と電気でお湯を沸かす電気給湯器です。作ったお湯をタンクに貯めるため、貯湯タンクの設置スペースも必要で、かつお湯を作るのに時間を要します。

一方で、エコジョーズは電気ではなく都市ガスやプロパンガスといったガスを用いる給湯器です。ガスを燃焼させてお湯を作るため、すぐにお湯を沸かすことができます。また、貯湯タンクも不要で、設置スペースも少なくてすみます。

「エコジョーズはやめとけ」と言われる3つの理由

エコジョーズ やめとけ 理由

さまざまなインターネットの記事や口コミでは、「エコジョーズはやめておいた方が良い」という声も見受けられます。これらが出てくる理由としては以下の3つが考えられます。

初期費用が高い

エコジョーズは、一般的な給湯器よりもガス使用量を10~15%ほど削減できるメリットがありますが、一方で初期費用が高くなる傾向にあります。

使用する部品点数が多く構造が複雑であるため、どうしても本体代が高くなります。くわえて、ドレン排水専用の配管が必要になるため、排水管工事の費用も発生します。排気設備の工事が必要なこともあります。

ただし、国や自治体が実施している補助金制度の中には、エコジョーズの購入や買い替えに適用できるものもあります。エコジョーズが対象となる補助金については、以下の記事をご参照ください。

思ったほどガス代の節約ができなかった

エコジョーズはガス使用量を抑え、ガス代を節約できるのが大きなメリットです。しかし、エコジョーズを導入したにも関わらず、想定よりもガス代の節約につながらないこともあるかもしれません。

その際に考えられる原因は、エコジョーズ以外の設備でガスを多く使用していることです。あくまでもエコジョーズは湯沸かしに使われるガスが対象となります。ガスコンロや乾燥機、ストーブなど他の家電製品で使用するガス使用量は抑えられません。

よって、もともとお湯の使用量が少ないご家庭であれば、エコジョーズを導入してもガス代の節約はあまり期待できない可能性があります。

臭いが気になる

前述のとおり、エコジョーズを使用するとドレン排水が発生します。もともとドレン排水はは酸性ですが、中和器を通って中性に近づけた状態で排出されるため、人体に害はありません。

ただし、この中和器が経年劣化や耐用年数を超えると、ドレン排水が中和されずに酸性特有の臭いを放つことがあります。

なお、悪臭については中和器の交換やゴミや泥などを堰き止める排水マスの定期的な清掃などで、ある程度は回避することが可能です。

エコジョーズに向いている人

エコジョーズ 向いている人

そもそもエコジョーズに向いているのはどのような人になるのでしょうか?

同居人数が多く、給湯をよく使う

エコジョーズは、同居人数が多く、給湯の使用頻度が高い家庭に向いています。エコジョーズは瞬間湯沸かし式であるため、すぐに必要な分のお湯を作れます。

入浴回数が多かったり、大量の食器洗いが発生したりするなど、給湯の頻度が高い家庭でより効果を発揮します。ガス代の削減効果も期待できます。

長期間の使用を想定している

エコジョーズは本体の部品が多く、排気や排水の設備も必要になるため、初期費用は高くなりやすいです。しかし、長く使い続けることで日々のガス代の節約ができ、特に10年以上使い続けることで投資効果が高くなる傾向にあります。長期的なコスト削減を目指したい方にはぴったりです。

一定の設置要件を満たしている

エコジョーズは貯湯タンクが不要なため、ある程度設置スペースが限られている場合にも対応可能です。ただし、排熱回収をする専用の排気設備が必須で、十分に排気や吸気が行える場所に設置することが必要です。また、ドレン排水専用の排水管も設置しなければいけません。このような設置要件を満たしていれば、エコジョーズはおすすめといえます。

オール電化を避けたい

オール電化は便利な面が多い一方で、電力供給に依存したり、電力価格の変動に左右されたりするデメリットもあります。例えば、停電が発生してしまうと大半の家電設備が機能しなくなってしまいます。そのような不安を避けたい方には、ガスを動力源とするエコジョーズがおすすめです。

エコジョーズに向いていない人

エコジョーズ 向いていない人

反対に下記のようなケースでは、エコジョーズではなく他の給湯器を選んだ方が適切かもしれません。

ドレン排水工事に対応していない

エコジョーズは排気熱を回収して再利用する高効率給湯器です。回収した熱でお湯を沸かす過程では機器内にドレン排水が発生するため、排水専用の配管を設置しなければいけません。建物の構造やスペースの関係上、排水管の設置ができなければエコジョーズの設置は難しくなります。

騒音や振動に敏感である

エコジョーズは、排気熱の回収や排気ガスを屋外に排出する際に、ファンなどから一定の振動や稼働音が発生することがあります。

音の大きさはエコジョーズのメーカーや機器によるため、一概にいえません。しかし音に敏感な方は、寝室に接した場所を避けるなど設置場所に気を付けてください。

お湯の使用量が少ない

エコジョーズが再利用する排気熱は、そもそもガスの燃焼時に発生するものです。そもそものお湯の使用量が少ないと、排気熱の発生量も少なくなり、結果的に燃料費の削減効果も小さくなります。そうなると、エコジョーズの最大のメリットである燃費の良さを活かしきれません。

まとめ

エコジョーズは長期的にみるとガス代の節約につながりますが、家族構成やお湯の使用頻度によっては、思っていたほどの節約効果が出ない可能性も。
反対に、エコジョーズに適した条件が揃ったご家庭なら、長期的に大きなメリットを享受できます。本記事を参考に、エコジョーズへの買い替えや購入を検討してみてください。
エコジョーズを導入した人のクチコミを参考にするのもおすすめです。

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