エアコンの畳数と選び方

ルームエアコンは主に設置する部屋の広さ(畳数)を目安に選びますが、お住まいの断熱性能や使用用途によってはオーバースペックや能力不足といったケースが発生します。こちらでは「畳数」「機能」「省エネ性能」「設置場所」といったポイントからご自宅に合ったエアコンの選び方を解説します。

各メーカーのエアコンカタログおよび当社で記載している畳数はあくまで「目安」であり、住宅構造やお住まいの状況によって解釈が異なります。適切な畳数の選び方について詳しくご案内いたします。

各メーカーのエアコンカタログに記載されている「畳数のめやす」は日本産業規格JIS C 9612 (最新版2013)をもとに、簡易計算式で算出されています。交換できるくんで同じ計算式を用いて一覧にまとめてみました。

基本的には現在と同じ畳数を選び、迷ったら実際の畳数より少し大きなエアコンを選んでおくのがおすすめです。

例えば26畳で11.9kWを出力しようとすると本来の基本スペック(定格能力)に対して125%程度の負荷になりますが、14畳で同じ能力を引き出そうとした場合はおよそ2倍となる238%の負荷がかかります。
一時的に最大能力値が出せるからといって広い部屋に小さなエアコンを設置するというのはおすすめできません。

広い部屋に小さい出力のエアコンを取り付けるのは、常にアクセル全開の小型車を運転しているようなもので燃費が良くありません。畳数に合わせたエアコンを選ぶことで立ち上がり時の出力に無駄がなく、部屋の温度変化に余裕をもって調整できるようになります。結果的に、エアコン本来の省エネ性能や快適性能が充分に発揮できるようになります。

同じ機能でもメーカーによって名称が異なっていたり、一部のメーカーだけに搭載されているものなどがあり比較が難しい場合があります。こちらではメーカーごとに注目の機能をピックアップしてご紹介します。

給水レス加湿が搭載されているのはダイキンのうるる加湿と呼ばれる「RXシリーズ」と「MXシリーズ」の2機種、パナソニックの「LXシリーズ」の合わせて3シリーズのみです。主に最上位モデルに搭載されており、給排気換気に加え、加湿機能を活かした加湿水で熱交換器洗浄が可能なダイキンRXシリーズが機能性で一歩優れています。

部屋の汚れた空気を屋外へ排出する排気換気と室内の温度に影響を与えず新鮮な空気を取り込む給気換気があります。メーカーや機種により「排気のみ可能」、「給気のみ可能」、「排気＋給気両方可能」と3種類の換気タイプからお選びいただけます。メーカーにより外気を取り入れながらの除湿や、花粉を除去する機能を有する機種もあります。

給気と排気機能を両方搭載しているのはダイキンとパナソニックそれぞれの最上位機種のみに搭載されています。三菱「FZシリーズ」「Zシリーズ」と日立「XJシリーズ」は換気ユニット(オプションパーツ)を追加購入することで排気換気機能が使用可能となります。

夏に人気の除湿機能ですがグレードにより除湿の仕組みが異なります。スタンダードモデルは熱交換器全体を冷やして湿気を取り除くため、部屋の温度が下がりやすくなります。ミドルグレード以上になると下がった空気を加熱して部屋に戻す「再熱除湿方式」や熱交換器の加熱・冷却範囲をコントロールする「ハイブリッド方式」などが採用されており、快適な室温を保ったまま除湿することが可能になります。

メーカーにより異なりますが、冷房運転時に発生する結露水の利用や加熱乾燥などが主な工程になります。熱交換器の自動洗浄運転時は室内の温度や湿度が上がります。場合によっては湯気が見えるケースもあり、湿気を避けたい場合(衣類が多くある衣装部屋など)には本機能が適していないこともありますのでご注意ください。

普段のお手入れが楽になるフィルター自動掃除機能は2003年に富士通ゼネラルで初めて搭載され、現在ではすべてのメーカーで採用される人気機能となりました。落としたホコリ・汚れを自動でダストボックスに溜める「ダストボックス方式」が主流ですが、パナソニックでは屋外に排出する「自動排出方式」を選べる機種があります。

暖房機能、冷房機能、気流調整などその他のエアコン機能についてご紹介します。

エアコンごとに「期間消費電力量」が設定されており、一般的には対応畳数が大きいほど消費電力は高くなります。同じ対応畳数でもグレードが高くなるほど消費電力が抑えられた設計となっているため、APF値も高くなる傾向にあります。省エネ性能を考慮した機種選定を行う際は、グレードの高い機種もご検討ください。

例えばダイキンの例ではスタンダードの6畳よりもハイグレードの8畳の方が消費電力が抑えられています。12畳と14畳でも同様ですが、対応畳数が大きくなるほどその差も大きくなります。

多くのメーカーで14畳用以上は200Vタイプ、それ未満は100Vタイプで分かれていますが、一部同じ畳数で100Vと200Vタイプが選択できる機種があります。この場合、14畳用以上であれば200Vの方が省エネ性能において優れています。以下はパナソニックのHXシリーズ(2024年モデル)で比較しています。

100Vと200Vでは省エネ性能のほか冷暖房の最大出力に差があり、温度調節までのスピードに違いが生じます。同じ機種であれば100Vと200Vタイプで価格差はないので、より快適にご使用されたい場合は、省エネ性能が同じでも200Vタイプをオススメいたします。

エアコンは取り付ける場所によって優先すべき性能や機能が異なります。家族が集うリビング、在宅ワークで利用する書斎・仕事部屋、年齢を考慮した子供部屋、空調管理をしたい寝室、などそれぞれ気をつけたいポイントとおすすめの機種をご紹介いたします。

リビングは日当たりの良い南向きとなっているケースが多く、特にマンションではその傾向が顕著です。夏にカーテンを閉めなければ冷房が効きにくいと感じる場合は、大きめのエアコンを選択するのがおすすめです。
また家族の滞在時間が長い場合は、省エネ性能に優れた機種を選びたいところです。そのほか「交通量の多い道路に面している」、「花粉が入りやすい」など、窓換気を避けたい環境には給気換気機能付きエアコンが最適な選択となります。

コロナ禍以降、リモートワークを推奨する企業が増えたこともあり、書斎や仕事部屋を確保するご家庭が多くなりました。集中できるよう快適な空調管理を自動で行うAI自動運転機能を搭載したエアコンはおすすめの選択肢です。「部屋が小さい」、「入口ドアと窓は常に閉めた状態」であるなら、空気清浄機や換気機能付きの機種もご検討ください。

お子様の年齢により部屋での滞在時間に差があります。過ごす時間が短ければシンプルな機能に絞ったスタンダードモデルで充分ですが、その中でもカビを抑制する清潔機能付きのモデルは特におすすめです。過ごす時間が長かったり、就寝中の利用を考慮するならリビング同様に省エネ性能に優れた機種が選択肢として最適です。

就寝時の運転がメインとなるため、エアコンの風が直接当たらないなどの機能はおすすめです。またマンションでは寝室が北側に配置されることが多く、湿気やカビ対策として空気清浄機能付きの機種を選択するのも有効です。就寝時に除湿運転を利用する場合は、室温の下がらない除湿機能を搭載したモデルもおすすめです。

冬の寒さが厳しく、普通のエアコンでは暖房能力が低下してしまう地域にお住まいの場合は寒冷地仕様をお選びください。寒冷地仕様は外気温-25℃でも安定した暖房能力を発揮することができます。
お住まいの地域が寒冷地に該当するかは国土交通省が発行している地域区分新旧表をご確認ください。