エアコンは室外機と繋ぐ必要があるため、外壁に面した壁に取り付けるのが理想ですが、日本家屋の和室は縁側(えんがわ)があったり欄間(らんま)が設けていられたりと、取り付けに制約があるケースが多々あります。ここでは、和室にエアコンを取り付ける際の追加作業と費用について詳しくご紹介いたします。
和室のエアコン取り付けにかかる追加費用
取り付け位置と配管経路によって異なります
外壁に面した壁にエアコンを取り付ける場合は一般的な施工で対応が可能ですが、縁側を介して配管を行う場合は室内壁の穴あけ、配管延長などの追加工事が発生することがあります。またオプションの室内化粧カバーが取り付けできないケースも。和室のエアコン取付は、配管経路によって工事費と仕上がりに差が生じます。
外壁に面した壁に取り付け
縁側を介した取り付け
エアコン用の配管穴がない場合の追加費用
縁側を介して配管をする場合、和室から縁側に出るまでの壁(または欄間)は穴あけを行い、屋外への配管持ち出しは欄間窓に専用窓パネルを取り付けて対応します。窓パネルを取り付けた窓は、防犯対策として専用金具で固定するため、開けることができなくなります。
ビスの効かない下地の壁には縦桟(タテサン)が必要
昨今の和室の壁は下地に石膏ボードが使われており、仕上材(壁の表面材料)として砂壁や聚楽壁を塗ったものや和風クロスを貼ったタイプが多くなっています。一方、昔ながらの日本家屋には土壁と呼ばれる、編み込んだ竹の上に藁や土を混ぜたものを塗り固めた下地の壁があります。この壁の場合はビスで固定することができないため、エアコンの取り付けに縦桟(タテサン)が必要になります。
壁の下地が石膏ボード
下地に石膏ボードが使われている壁は、ボードアンカーを固定してエアコンを取り付けます。
追加作業費なし (基本工事費内)
壁が土壁
土壁は下地にビスが効かずアンカー固定もできないため、縦桟を使用してエアコンを取り付けます。
追加作業費
2,200円(税込)
縦桟(タテサン)は部屋の状況に応じて選択します
縦桟は、廻り縁(まわりぶち)と長押(または鴨居)に渡して固定するタイプと、廻り縁にビス固定して吊り下げるタイプの2種類があります。エアコン設置位置に長押や鴨居が無い場合は、廻り縁固定の吊り下げタイプを使用します。工事担当が当日に現場状況を確認して選択します。どちらのタイプでも追加費用に変更はありません。
廻り縁と長押(鴨居)に固定
廻り縁に固定して吊り下げ
内壁面の仕上材で下地を判断
壁の下地は判断がつきづらいものですが、戸建住宅は内壁面の仕上材によってある程度判断が可能です。ここでは戸建住宅の仕上材ごとの下地についてまとめました。なおマンションの壁は下地が石膏ボードかコンクリートのため、縦桟は必要ありません。
継ぎ目がある・剥がせるといった特徴があるなら、和風クロスと判断できます。例外はありますが、下地は石膏ボードがほとんどです。ボードアンカーで固定ができるため、基本工事で対応可能です。
土や砂、漆喰など自然由来の材料を仕上材に使った壁です。古くから日本家屋や和室に使われています。下地は築年数が浅ければ石膏ボード、古ければ土壁やモルタル、石膏塗りなどの可能性があります。
築年数が古い(目安として築40年以上)住宅に見られる壁で、柔らかく触るとポロポロ細かい繊維が落ちてきます。下地がアンカー固定ができない可能性が高く、その場合は縦桟が必要です。
和室のエアコン取り付けでよくあるその他の追加費用
和室にエアコン専用コンセントが無い場合は、分電盤より新たに電気配線が必要になります。また100Vタイプのエアコンを200Vタイプへ交換する場合は電圧変換及びコンセントの交換、コンセント形状が異なる場合はコンセントの交換が必要になります。エアコンがコンセントに届かない場合はコンセントの移設作業が発生します。
専用回路配線
エアコンを取付ける際、近くに専用コンセントがない場合、分電盤から専用回路を配線します。配線の一部または全部が、露出配線となる可能性があります。
追加作業費
55,400円(税込)
ブレーカー交換
エアコンを100Vから200Vタイプに交換する場合は、分電盤にある専用の子ブレーカーを交換し、電圧を変換します。
追加作業費
4,400円(税込)
コンセント移設
「電源コードが届かない」「エアコン本体の取り付け位置を変更したい」などの場合は、コンセントの移設作業が必要となります。
追加作業費
5,500円(税込)
コンセント交換
新しいエアコンと既設エアコンのコンセント形状が異なる場合は、コンセントの交換作業が必要です。コンセント形状は4タイプあります。
追加作業費
4,400円(税込)
まとめ
和室のエアコン取り付けは「縁側を介して配管を行う場合は室内壁の穴あけや専用窓パネルが必要」「取り付ける壁の下地によっては縦桟が必要」など、追加作業が発生しがちです。また新規設置で専用コンセントがない場合は、分電盤から配線を新たにひく必要があります。
ご自宅の和室にどのような作業が必要か、このページをご参考ください。
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